« コボルド(コボルト)Kobold | トップページ | ジャイアントGiant »

2013年12月28日 (土)

シルキーSilky

●ヨーロッパ版「お絹さん」
シルキーはケルト(ヨーロッパ北西部)の伝承に登場する妖精の名前です。なぜか女性ばかりで、男性はほとんどいません。絹の服を好んで着ると言われ、近くを通るときシュルシュルと絹のすれるような音を立てることから、「絹の服を着る人」もしくは「お絹さん」を意味する「シルキーSilky」の名前が与えられました。

彼女のホームグラウンドは、その名前からも想像できるように、名家や大金持ちの家です。大勢の召使いが一生懸命働いている中に、顔は見たことがあるのにどうしても名前が思い出せない女性がひとりか二人は確実にいます。もし、誰に聞いてもその正体が分からないのであれば、彼女はシルキーである可能性がきわめて高いと言えましょう。

この妖精は、事件に巻き込まれた人物の幽霊であるとも、家に宝を隠したまま死んでしまった家人の残存意識であるとも考えられています。とある屋敷に住み着いていたシルキーは、天井裏から金貨の詰まった袋が発見された途端に、姿を消してしまいました。


●シルキーの性格
彼女たちは妖精としての性質を持ちながら、妖精であると気づかれることの少ない、希有な存在です。あまりに自然に人々の中へとけ込み、誰かが怪訝に思ったときには既に姿を消しているので、誰もその正体をつかむことができないのです。

伝承に語られる彼女らはおおむね有能で真面目、敏腕の持ち主で、炊事洗濯はもとより、掃除片付け、果ては暖炉の火入れや屋敷の見回りまで行ってくれます。とある古い屋敷に住んでいた老婆は、シルキーがかいがいしく働いてくれたお陰で、「困ったことは何もなかった」と述べています。

しかし、人間の召使いには、あまりにそつがないゆえか、有能すぎるゆえか、いずれにしても嫌われていることが多いようです。彼女らにあまり活躍されると、自分の仕事のアラが目立ってしまうからかも知れません。


●怖いシルキー
このように、「同業者」に妬まれるほど、まめに仕えるこの妖精。さぞかし性格も良いのであろう……と思いきや、さにあらず。伝承を見るとけっこう過激な性格の者が多いようです。

特に望まれざる侵入者には容赦せず、自分のあらゆる能力を駆使して追い出しにかかります。ちょっかいだけで済めばしめたもの、中にはさんざん翻弄して外へ放り出す者もいます。それでも去ろうとしなければ、首を絞めて殺すことさえあると言いますから、かなり恐ろしい存在です。

怖いシルキーと言えば、ニューカッスル地方(イギリス中東部)のヘドン・ホールに棲んでいたシルキーはひねくれ者で知られていました。

部屋がきちんと片付いていれば散らかし、散らかっていれば片付けるようなところがあり、家事の手が空くと、「シルキーの椅子」と呼ばれる近くの古木に座り、通りかかる馬や馬車にちょっかいを出して遊びます。
しかし、ナナカマドで作られた十字架を身につけた者にはどうしても近づくことができなかったそうです。


●ブラウニーとの相違点
家に付く妖精と言えば、他にホブゴブリンやブラウニーなどの名前が知られています。シルキーがそうした妖精たちと大きく違うのは、ホブゴブリンたちが人間たちから見返りを求めるのに対し、シルキーは何も求めないと言うことです。

その代わり、彼女らは自分から出て行くことをしません。住民がどんなに迷惑に思っても、勝手に居座り、勝手に世話をし続けます。
ですから、シルキーを怒らせたら住民の方が追い出されることになります。部屋の中をしっちゃかめっちゃかにされ、生活を邪魔しまくり、住民がすっかり参って出て行くまで攻撃を続けます。こうしてシルキーに家から追い出された人の報告は、何と20世紀に入るまで続きました。


●日本のシルキー
彼女らはケルト地域特有の妖精ですが、その人気は本場ヨーロッパよりも、むしろ現代の日本の方が高いと言えます。
「幽霊同居人」や「突然主人公の家に押しかけてくる不思議なお手伝いさん」という「シルキー的な存在」は、かなり昔から漫画や小説の題材になってきました。「ドラえもん」もある意味、男のシルキーであると言えるかも知れません。

彼らの共通点は、普段はおとなしいのに、怒ると手がつけられなくなることです。そう言えば、ドラえもんも、ネズミの存在に怒り狂って、地球を破壊しかねない爆弾をポケットから取り出していました。



●亜種・別名など
ブラウニー

« コボルド(コボルト)Kobold | トップページ | ジャイアントGiant »

妖精一般」カテゴリの記事