« ブラウニーBrownie | トップページ | ホブゴブリンHobgoblin »

2014年1月30日 (木)

ホビットHobbit

●新しい妖精
映画「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の世界的大ヒットによって、ホビットの名前は一躍有名になりました。
ずんぐりした身体に愛嬌のある顔。勇敢な心。旺盛な好奇心。そして、緻密な歴史と背景。さぞかし欧米では古くから語り継がれた、名のある妖精に違いない……そう思った人も少なくないのではないでしょうか。

ところが意外にも、この種族は20世紀以前の伝承にはまったく登場しません。なぜなら、これはトールキンというひとりの作家のまったくオリジナルな部分から生み出された、まったく新しい種族だからです。

ホビットという名前もトールキンが考えました。
語源については、作者本人がとうとう明かさないまま世を去ったので分かりませんが、恐らくは「人間(Human)」と「野ウサギ(Rabbit)」、もしくは「妖精(Hobgoblin)」と「野ウサギ(Rabbit)」を併せた言葉であろうと考えられています。


●我慢強い小人たち
彼らは人間よりもかなり背が低く、およそ2フィート(およそ60センチ)から4フィート(およそ120センチ)ほどの大きさしかありません。ゆえに人間たちからは「小さき人」を意味する「ハーフリングHalfling」の名で呼ばれます。
ホビット一番の「巨漢」と言われるバンドブラス・トゥック(牛うなりのトゥック)でさえ4フィート5インチ(およそ135センチ)の大きさにとどまります。

丸っこくて陽気そうな顔つきをしているので、いっけん辛抱などと無縁のように思えますが、実際は恐ろしくタフな種族です。知恵と勇気があり、危難が迫れば一致団結して好きな食事さえガマンします。だからこそ、フロドやサムのような大冒険が可能であったわけです。

髪についてはおおむね茶色で巻毛。指は長く、身長に比して大きな足の裏にはびっしりと毛が生えており、音を立てずに歩くことが可能です。それゆえに、靴はあまり使いたがりません。
派手な色の服を好み、1日に6回、相当な量の食事を摂り、煙草代わりの「パイプ草」をたしなみます。そんな彼らの家は「ホビット穴」と呼ばれる場所です。気持ちのいい窪地を見つけては、そこに家を作って住み着きます。


●小人型種族のルーツ
彼らは歴史的な背景をほとんど持たない種族でありながら、さまざまなバリエーションを今に至るまで生み出し続けています。それだけ、真に迫ったキャラクター作りをトールキンという作家が行ったということなのでしょう。
単なるおとぎ話の小人ではない、確固たる歴史と背景を持った「小さき人」―――。

「ホビット型」の種族としては、「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(D&D)」の「ハーフリング」が有名ですが、小説「ドラゴンランス」シリーズには「ケンダー」(子供の意?)、ゲーム「ソードワールド」シリーズには「グラスランナー」(草原走り)という名前の、同じようなタイプの種族が登場しています。

不思議なのは、おおむね「身体が小さくて陽気」というイメージは共通しているのに、名前が作品によってバラバラだということです。
これについて、著作権との絡みを指摘する人もいますが、作品によっては「ホビット」のままで登場するものもあることを考えると、単に「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」のイメージが強すぎるので、そのままでは使いにくい、というところが関係しているように思えます。



●亜種・別名など
ハーフリング/ケンダー/グラスランナー/ピグミー

« ブラウニーBrownie | トップページ | ホブゴブリンHobgoblin »

妖精一般」カテゴリの記事