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2014年6月26日 (木)

アマゾンAmazon

●乳なしの部族
アマゾンはギリシア神話に登場する女部族です。アマゾニスとも、複数形でアマゾネスとも言います。
彼女らの名は「乳なし」を意味する言葉から来ており、彼らの乳房は片方しかありません。一説には、弓を引きやすいように右の乳房を切り取ったのだと言います。弓の他に槍や斧にも精通しており、三日月型ないし半月型の盾を使用し、乗馬をよくしていました。

アマゾンは一般に知られるように、女だけで部族を作り、女王によって統治されています。純潔の女神アルテミスを信奉し、気性が荒く、独立心が強い彼女らは、年に一度だけ、隣国のガルガレンシアン族のところを訪れ、男性と交わります。
その結果、生まれた子供が女の子であれば育てて、幼時から戦闘技術や狩りを仕込みます。男の子であれば殺すか役立たずにし、あるいは父親のもとへ返すのだとされていました。


●ギリシア神話のアマゾンたち
ギリシア神話には、アマゾンが登場するエピソードが多く存在します。

ヘラクレスの「十二の功業」には、彼女らの女王ヒッポリュテの帯を奪う場面がありますし、また、トロイア戦争では女王ペンテシレイアみずから兵を率いてトロイア側に参戦しています。
ギリシア軍最強の戦士だった英雄アキレウスは、みずから彼女を討ちましたが、その死に顔の美しさに恋したという噂が流れ、それを打ち消すためにアキレウスは僚友を殺したとも言われています。

また、彼女たちは、黒海の小島レウケ島に遠征隊を送ってアキレウスの神殿を掠奪しようとして、アキレウスの亡霊に敗退させられたとも伝えられています。

この他にも、ペガサスに乗った英雄ベレロポンやアテナイ王テーセウスも、アマゾンと交戦しています。


●神話時代以降のアマゾンたち
彼女らはしばしばその実在が信じられ、さまざまな歴史書や旅行記にアマゾンたちの記録が残っています。

マケドニアのアレクサンドロス大王は、カスピ海沿岸のヒュルカニアにおいて、彼のもとを訪ねてきたタレストリスという女王と交わったと言われます。ただ、ギリシアの著述家プルタルコスはその事実を否定しています。

ヨーロッパ中世のベストセラーであるジョン・マンデヴィルの「東方旅行記」には、カルディア(イスタンブール付近の都市)の近くにアマゾンの国があって、そこでは女性が支配権を握っており、やはり彼女らには乳房がない、とされています。
マンデヴィルの説明によれば、身分の高い女性の子供は、盾を持ちやすいように左の乳房を切り取り、身分の低い女性は、弓が引きやすいように右の乳房を切り取るのだそうです。

16世紀には南アメリカの大河および流域の名前に、この部族の名前がつけられました。
探検家フランシスコ・デ・オレリャーナが、この流域に住む女族の好戦的な様子を見て名付けたものですが、一説には、長髪のインディオを見て女族と誤解したのだと言われています。


●アマゾンの正体
アマゾンの正体については諸説ありますが、オレリャーナの例にも見られるように、長髪のスキタイ人の男性たちを、ギリシア人たちが「乳なしの女性だ」と見なした説が有力です。



●亜種・別名など
アマゾニス/アマゾネス

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