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2014年7月 2日 (水)

アスタロトAstaroth

●地獄の大公爵
アスタロト(アスタロスとも言う)は、地獄の大公爵です。「恐怖公」とも呼ばれます。ソロモン72将のひとりであり、地獄の主計長官をつとめ、40個の軍団を率い、西方を支配し、大領主たちとの交友を人にもたらします。

唇を赤く濡らした全身黒ずくめの天使の姿をしており、一般には悪竜に乗り、右手に蛇を持った恐ろしげなかたちで描かれていますが、これは後年になって作られたもので、実際は絶世の美女という説もあります。


●女神アスタルテ
アスタロトはもともと、カナン(パレスチナ)やフェニキア(シリア西岸)では「アスタルテ」の名で、美の女神、および豊穣の女神として崇められていました。
王権を継承する者はまず、アスタルテの神官たることを宣言しなければならなかったと言いますから、その影響力の大きさが知れます。
オリエント神話のイシュタルや、ギリシア神話のアプロディテ(ローマ神話のヴィーナス)と同一視されることもあるようです。彼女の神殿には娼婦もいました。

フェニキアにおけるアスタルテは、「世界の真の統治者」であり、古い世界を破壊しては新しい世界を創造するという、死と再生をつかさどる女神でした。
そのため、インドの女神カーリーと共通視される場合もあります。実際、4000年前のシュメールの遺跡から、夫の上にしゃがみ込んだカーリーのような姿のアスタルテの刻像が見つかっています。


●悪魔としてのアスタロト
そんな彼女も、キリスト教の普及に従って、死をつかさどり、流血を好む悪魔の地位に貶められます。

17世紀のエクソシスト(悪魔祓い師)セバスチャン・ミカエリスによれば、彼女はもともと座天使(上級第三位の天使)であったのが、怠惰な生活を送るようになり、人びとにもそのように働きかけ、後に堕天したのだと言われています。

また、悪魔学者ヴァイヤーによれば、過去と未来に通暁(つうぎょう)し、天使の創造・過ち・失墜の一部始終にも精通して、聞けば一部始終を、しかし、自分のことは都合よく粉飾して、聞かせてくれると言います。諸学問についても徹底的に教えます。

イギリスの伝説によれば、ファウストを訪れた地獄の七君子の中にもアスタロトがいて、その時彼女は禍々しい蛇のような姿で現れたとされています。



●亜種・別名など
アスタルテ/アスタロス/アシュタルト/アシェラー/アタルガティス

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