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2014年7月 2日 (水)

アテナAthena

●ギリシア神話最大の女神
アテナ(アテネ)はギリシア神話の重要な女神です。知恵、工芸、学芸、戦争をつかさどり、一般には完全武装した姿で知られます。ローマ神話ではミネルウァ(ミネルヴァ)に当たります。

ミュケナイ時代(紀元前1200年ごろ)には、王侯の宮殿が建つアクロポリス(中核の丘)の守護をつかさどっていましたが、時代を経るごとにその性質は変化し、やがてポリス(都市)全体の守護神、そしてポリスの発展に欠かせない学芸・戦争の女神として崇拝されるに至りました。

彼女の聖鳥はフクロウで、一説によればアテナはフクロウのように大きな眼を持っているとも言われています。
その部分から、やはり「眼」の怪物であるメデューサ(先住民族の大地母神)との関連性を考える人もいますが、両者の関係は今のところ、はっきりよく分かってはいません。


●アテナの誕生
彼女はその生まれからして変わっています。

彼女はゼウスとメティス(思慮)の子供でしたが、正妻のヘラがそれに気づきそうになったので、ゼウスは臨月のメティスごと、呑み込んでしまいます。
しかるのちに、激しい痛みが頭の中に走ったので、プロメテウス(一説にはヘパイストス)が斧でその頭をかち割ると、果たして中から、完全武装したアテナが生まれたというのです。

また、別の説では、彼女は雲の中に隠れていたのを、ゼウスが雲に頭をぶつけて、この女神が飛び出した、とも言われています。

いずれにしても、ゼウスが単身で生んだ、と見なされたことから、ヘラの恨みを買ってしまいます。しかし、アテナはどこ吹く風、父のゼウスの偏愛を受けて自由奔放に育ちます。
それは、ヘラの子供アレス(戦争の神)の「彼女(アテナ)は勝手気ままに振る舞っている」という言葉からも明らかです。


●アテナの格好
美術品などに見るアテナは、大きな前立てのついた兜に、長い槍、そして盾を持った姿で登場します。
兜の前立ては「百人の歩兵を覆い尽くすほど大きい」ものであり、また盾は、「アイギス(エージス)」と呼ばれ、父ゼウスが対ティタン神族戦で使った由緒正しいものです。

この盾は、父ゼウスを育てた牝山羊アマルテイアの皮で作った丈夫なものであり、あらゆるものを跳ね返すことから、後の「イージス艦」の語源にもなりました(余談ですが、「エージス」ではなく「イージス」と発音するのは、怖い病気「エイズ」との発音のバッティングを避けたためという説が有力です)。

それはともかく、この盾には、のちにペルセウスによって退治されたメデューサの首がはめ込まれ、より防御力に勝るようになりました。

もちろん、美貌も折り紙付きです。彼女がヘラとアプロディテ(美の女神)と美貌を競った結果、アキレウス、オデュッセウスらが活躍することになるトロイア戦争が起こったというのは有名な話です。


●アテナとアテネの関係
彼女の崇拝の中心地は、その名前からも分かるように、アテネ(アテナイ)です。彼女がこの町を得るようになった理由については、面白い話が残っています。

ある時、あるアクロポリスの領有を巡って、伯父のポセイドンと争いになりました。そこで、彼らは「市民に役立つものを出した方が勝ちだ」と言い、ポセイドンは三つ叉の矛で字面を一撃して、塩水の泉(一説には馬)を噴き出させました。

しかし、アテナはオリーブの木を生じさせました。塩水とオリーブでは、オリーブの方が役に立つ、ということで、神々はアテナに軍配を上げ、以後この土地は彼女にちなんでアテナイと呼ばれるようになった……ということです。ちなみに、この木は紀元前5世紀ごろまで生えていたとも言われています。


●英雄たちの守護者
彼女はその格好からも分かるように、戦うのが大好きでした。ゆえに、勇者たちの守護神としても、しばしば活躍しています。

ヘラクレスには難業をクリアする道具を与えましたし、ペルセウスにはメデューサを倒す導きを行っています。ベレロポンにはペガサスを御する金の馬勒(ばろく)を与え、さらに彼女は、オデュッセウスが無事帰還するまでの間、守護をつかさどりました。

かといって、英雄たちとの色恋に走ったと思いきや、さにあらず、彼女は終生純潔を貫きました。あくまでも英雄たちの手助けは気まぐれ、戦争および知恵の女神としての義務感から来るものだったようです。


●アテナの意外な才能
アテナは知恵の女神らしく、人間に惜しみなく、ものや知恵を与えました。

キュレネ(アフリカ北岸)の人びとには馬をならす術を与え、エリクトニオスには、最初の戦車に馬具で馬をつなぐ方法を教えました。
イアソンとその仲間たちがアルゴ船を造る時にも、彼女はそばにいて、それを見守っています。ろくろで壺を作ったのも、アテナが最初だと言われます。

とりわけ彼女が自信を持っていたのは、刺繍でした。ヘラのヴェールをはじめとして、あらゆるものに刺繍を施し、神々はそれをあてにしていたとも言われます。

ちなみに、小アジアのリュディアに住むアラクネという娘との勝負では、引き分けに終わったため、彼女は悔しさのあまり、アラクネを蜘蛛に変えてしまいます(これには異論があり、むしろその能力を認め、無心に織り続けられるように蜘蛛へ変えたという説もあります)。



●亜種・別名など
アテーナー/アテネ/アテーネー/ミネルウァ/ミネルヴァ

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