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2014年7月 2日 (水)

アトラスAtlas

●天空を支える巨人
アトラスはギリシア神話に登場する巨人です。ティタン神族のひとりイアペトスと、大洋神オケアノスの娘たち(オケアニス)のひとりであるクリュメネ(もしくはアシア)の間に生まれた子供で、プロメテウスやエピメテウスらとは兄弟に当たります。

その名前は、「支える者」「耐える者」「刃向かう者」を意味する印欧古語に由来し、ティタノマキア(オリュンポス神族とティタン神族の戦い)ではティタン神族側にくみし、その罰として、世界の果てで永久に天球を背負う宿命を科せられました。
歴史家ヘロドトスによれば、現在北アフリカにあるアトラス山脈がその巨人の名残だと言われています。


●ヘラクレス伝説に見るアトラス
この巨人はヘラクレスの伝説にも出てきます。

それによれば、ヘラクレスは十二の功業の11番目として、ヘスペリデス(アトラスの娘たち)の園にある黄金の林檎を取りに行かなければならないことになりましたが、アトラスはヘラクレスにこう持ちかけます。

「この天球を代わりに支えてくれないだろうか。そうすれば私が代わりに林檎を持ってくる」

果たして、ヘラクレスはそれを承知し、一時天空を支えます。ヘスペリデスの林檎はヘスペリデスたちとラドンというドラゴンによって守護されており、アトラス以外の者が取ってくることは難しいのです。

アトラスは戻ってくると、オリュンポスの館にそのままそれを届けよう、と告げます。
ヘラクレスは承知したふりをして、「ちょっと体勢が苦しいので、代わりに天球を支えて欲しい」と言います。アトラスはそれに騙されて、再び天球を背負うことになりました。


●アトラスが山脈になった理由
アトラスが山脈になった理由はいくつかの説があります。

まず、あまりに長年、天球を支え続けてきたので、老いて支えるのが辛くなり、ペルセウスに頼んでメデューサの首を見せてもらい、大きな山脈となったというのがひとつ。

もうひとつは、同じくペルセウスがゴルゴーン退治に出かけた時、アトラスに一夜の宿を所望したが、アトラスが拒否したので彼が怒ってメデューサの首を見せたため、岩と変えられたという説。

いずれにしても、アトラス山脈がかの巨人のなれの果てということは間違いなく、それが積極的なものか、消極的な理由によるものなのか……という違いでしかありません。


●地図帳に見るアトラス
現在、世界地図のことを「アトラス」と言いますが、これは巨人のアトラスに由来します。
中世の当時から、地図の脇に天球を支えるアトラスの像が描かれていましたが、「メルカトル図法」に名を残す16世紀の地理学者メルカトルは、それを地図帳の表紙に採用しました。
それがやがて、人気を博すようになり、アトラスの描かれている地図帳、あるいは地図帳そのものを「アトラス」と呼ぶようになったということです。



●亜種・別名など
アトラース

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