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2014年7月 3日 (木)

ベヒモスBehemoth

●大食いの悪魔
ベヒモスはベヘモス、ベヘモトなどとも呼ばれる大悪魔です。ルシファーの側近であり、陸軍と海軍を統括します。言わば地獄の元帥であり、防衛長官です。

カバのような大きな身体と旺盛な食欲を持つことで知られ、その胃袋は底なしとされています。性格は(悪魔にしては)比較的温厚ですが、ひとたび暴れ始めると誰も止めることができません。
ゆえに、彼をして「自然の猛威」や「無秩序な暴力」の象徴と見る向きもあります。

彼の名はヘブライ語の「獣」を意味するベヘマB’hemahに由来するもので、ベヒモスはその複数形です。
一匹なのに複数形というのも変ですが、あまりに図体が大きすぎるために、単数形ではその威容を表現しきれないのです。あるいは、複数の動物が集まった姿だから複数形なのだとする説もあります。


●旧約聖書の「獣」
この悪魔はもともと、ユダヤ教典に登場する「獣」の一つでした。
大いなる神によって作られた存在であり、「最後の審判」の日に、兄弟分の海獣リヴァイアサンとともに人間の食糧となる宿命を義務づけられています。つまり生ける食料庫というわけです。

本来、地上ではなく水中で暮らす存在でしたが、リヴァイアサンとともに海へ入り込むと、水がすべてあふれ出てしまうので仕方なくベヒモスだけが地上へ揚げられたのだそうです。

旧約聖書の「ヨブ記」第40章は半分近くがこの怪物の描写に充てられていて、彼がいかにユダヤ人にとって重要な存在であったかが分かります。

「見よ、このベヒモスを。
これはあなたと並べてわたしが造ったもの。
牛のように草をくらう。
見よ、その力は腰にあり。
その強さは腹の筋にある。
尾は杉の木のように垂れ、ももの筋は絡み合っている。
骨は青銅の管、肋骨は鉄の棒のようだ。
これは神が造られた第一の獣。
これを造られた方が、ご自分の剣でこれに近づく」
(旧約聖書「ヨブ記」第40章)


●ベヒモスの姿
ベヒモスの姿は「カバ」とする人あり、「サイ」と言う人あり、ゾウや水牛に擬する人ありで、一定していないというのが実情です。旧約聖書ではそのものずばり「カバ」と訳しているものが多く、ゲームや小説などもほぼこのイメージに沿っています。

18世紀のイギリスの詩人ジェイムズ・トムスンはこの悪魔についてを「サイ」と呼び、同じくイギリスの画家で詩人のウィリアム・ブレイクは「牙のあるカバ」と表現しました。
悪魔のイラストを多く載せていることで有名なコラン・ド・プランシーの「地獄の辞典」では、腹の膨れた二本足で立つ象の姿で描いています。

なお、こうしたイメージは主にヨーロッパや小アジアのもので、アラビア半島より東では「魚」や「ドラゴン」の姿を取るのが一般的です。
カバやゾウが、一方では魚やドラゴンというのも奇妙に聞こえるかも知れませんが、どちらも水場に深く関係を持っているというのは一緒ですし、そもそもベヒモスという名前が、アラビア語に入ると「バハムート」、つまりゲームなどでお馴染みのドラゴンの名前になります。



●亜種・別名など
ベヘモト、ベヘモス、バハムート

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