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2014年7月 3日 (木)

ベリアルBerial

●地獄随一のエリート悪魔
ベリアルは地獄の大王で、ソロモン72将のひとりにも数えられる有力な悪魔です。
50個師団もしくは80個師団という厖大な数の軍団を麾下に持ち、その影響力はきわめて強大です。火の戦車に乗った天使の姿で現れ、その物腰は優雅かつ威厳に満ちています。しかし、その魂は誰よりも穢れていて、仲間を裏切ることに何の痛痒(つうよう)も感じません。

かつては熾天使(セラフィム)、つまり上級第一位の天使であり、力天使(ヴァーチュズ)、つまり中級第二位の天使の支配者でありましたが、天上界の政争に負けて「自ら」地上へと降りました。
この辺、戦争に敗れて地に「堕とされた」悪魔王ルシファーとは一線を画しています。


●歴史に見るベリアル
歴史的に見て、ベリアルは神や善神としての経歴をほとんど持っていません。
天使だったという経歴もほとんど後付けみたいなもので、しかもそれを「自主的に」捨て去っています。彼はまさに悪魔として誕生し、活躍して、そして恐れられてきました。その意味では、あらゆる悪魔の中で最も「由緒正しい」存在であると言えるかも知れません。

そもそも、ベリアルという呼称からして「無価値な者」「邪悪な者」「無益な者」を意味する普通名詞から来ているのですから、彼がいかに悪辣な存在であるかが分かろうものです。


●聖書に見るベリアル
彼の名は旧約聖書偽典「ベニヤミンの遺訓」に見ることができます。
紀元前7世紀ごろに活躍したユダヤ王マナセに取り憑き、ユダヤの教えに反するあらゆる悪さをしたと伝えられています。それまで固く禁じられていた偶像崇拝を復活させ、預言者イザヤを殺したのも、ベリアルです。

さらに、死海沿岸にあったソドムとゴモラという街にあらゆる享楽と頽廃(たいはい)を持ち込み、人心を荒廃させました。
そのため、二つの街は「天から降る硫黄の火」で焼き滅ぼされました(旧約聖書・創世記第19章)。ちなみにこのエピソードから、「男色」を意味する言葉ソドミーSodomyという言葉が生まれています。

彼はまた、イエス・キリストを「告訴」した存在としても知られます。「地獄の権利に干渉し、地獄、海、大地、及び大地に棲むあらゆる者を、支配する権利」を悪魔から奪ったからです。
もちろん、大変な言いがかりに過ぎないのですが、キリストも預言者モーセを天国から弁護人として呼び寄せ、全面的に争います。

結局、神はベリアルの告発をすべてしりぞけ、キリストは晴れて無罪を勝ち取るわけですが、ただ一つ、「最後の審判」に地獄へ堕ちてくる魂の支配権のみ、ベリアル側も勝ち取ります。

もっとも、「あらゆる魂が救われる」と言われる日に、地獄へ堕ちてくるようなものはよほど穢れた魂であり、どれほどの価値があるか、はなはだ疑問ではあるのですけれども……。


●ベリアルの姿
ベリアルはその呼び出し方も一筋縄ではいきません。まず、生け贄に人間を用意する必要があります。
それを何とかクリアして、無事顕現させることができたとしても、呼吸するようにウソをつくので、質問の答えを得るのも一苦労です。

ちなみに顕現時の彼は天使と見まごうような美しい姿です。透き通った声で話し、気品も穏やかなので、よほど悪魔に通じている人間でなければ天使と区別がつきません。
実はそこがベリアルの狙いでもあります。天使の姿で人間を信用させることで、相手の知らぬうちにこっそりと悪の道へコントロールするのが、彼の真の目的です。

彼はかつて賢王ソロモンにも呼び出されたことがありましたが、その時は御前で踊りを披露し、また地獄の外交使節の代表として親書を王に手渡しました。

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