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2014年7月 3日 (木)

デメテルDemeter

●農作物の女神
デメテル(デーメーテール)は、穀物を中心とした農作物をつかさどる女神です。クロノスとレアの子供であり、ゼウスから見れば姉に当たります。
ギリシア12神のひとりと言われ、その名前は「大地の母」「麦の母」を意味すると言われます。

ローマ神話ではケレスに該当し、「シリアル食品」の「シリアル」はこのケレスがなまったものです。
信仰の範囲はギリシアのみならず、小アジア、シチリア島にまで及ぶとされ、神殿は森の中にありました。

彼女を象徴するものは麦の穂とケシの花であり、特にケシの花は、娘を失った悲しみを癒すのに使われました。

彼女はゼウスの多くの愛人のひとりでもあり、彼との間に冥界神の妃ペルセポネをもうけました。また、ポセイドンとも馬の形で交わり、神馬アレイオンとデスポイナ(女主人の意)を生んだとされています。


●ハーデスとペルセポネとデメテル
彼女はゼウスとの間に生まれた愛娘ペルセポネを溺愛し、こよなく可愛がっていました。
しかし、その娘が冥界神ハーデスによって連れ去られると、彼女は嘆き悲しみ、あらゆる職能を捨てて、松明を片手に探し回りました。
そして、ハーデスのところにいることを見つけると、帰るよう説得しましたが、ペルセポネは既に冥界のザクロの実を口にしていたため、デメテルのところに帰ることはできませんでした。

そのころ、彼女があらゆる職能を捨ててしまったので、農作物が育たなくて困っている地上および天界では、ゼウスらによって妥協案が模索されます。

妥協案とは、一年のうち、3分の1は冥界神の妃としてハーデスのところにいる。だけど、3分の2はデメテルのところに帰る、ということでした。
デメテルはその案を呑み、一年の3分の2を愛娘とともに暮らす生活に入ります。しかし、ハーデスのところに行く時は嘆き悲しんで職能を放り出すので、今も農作物は、一年のうち3分の2しか育たないということです。


●デメテル信仰
彼女についての神話を語る「デメテル賛歌」によれば、彼女は娘を探して放浪している最中、アテナイ近郊のエレウシスに来て、ケレオス王の子デモポンの乳母となっています。

彼女はこの子を不死にしてやろうと考え、あらゆる食物を遠ざけて、その代わり自分の息を吹きかけ、神饌(しんせん)を塗ってやり、夜になると、彼の人間としての部分をすべて取り除くため、彼を炉の火の中に隠しました。

一方、日に日に子供が人間離れしていくのを見た、ケレオス王の妃メタネイラは、不思議な乳母の様子をそっと見守ります。そして、子供を炉の火の中に入れたところで驚き、炉から子供を引きずり出します。
デメテルは頭を振って悲しそうに言いました。

「ああ、軽はずみな真似をしなければ、この子を不死にしてやれたのに」

そして、女神としての姿に戻ると、この地エレウシスに彼女の神殿を建て、秘儀をつかさどるよう言い残して去ります。

こうして、エレウシスはデメテル信仰の中心地となり、アッティカ地方(アテナイ近郊)では、ペルセポネの消失(冥界入り)と再生(帰還)の時季に盛大な祭が催されたということです。



●亜種・別名など
デーメーテール/ケレス/セレス

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