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2014年7月 3日 (木)

ディオニュソスDionysus

●ギリシア神話の酒神
ディオニュソス(ディオニューソス)は、ギリシア神話における酒とブドウの神です。
オリュンポス12神の中でただひとり、人間の女性(セメレ)を母に持つ存在です。ローマ神話のバックス(バッカス)に当たります。

もともとはトラキア(ブルガリア)やマケドニアの複合神(さまざまな神の要素が集まったもの)だったようで、彼の儀式はしばしば集団的昂奮と恍惚感に見舞われました。祭はギリシアに輸入され、特に女性の信仰を受けたようです。

彼の伝承にはしばしば「狂乱」とか「発狂」という言葉が出てきます。この言葉は彼の酒の神としての性質をよく表しており、そのため、ディオニュソスの祭はしばしば為政者によって禁止されることもありました。
しかし、信者たちはそんなものなどどこ吹く風、時に少年を犠牲に供し、血なまぐさい祭に発展することもあったようです。

彼の祭はしばしば演劇を伴ったことから、ディオニュソスは演劇の神とも見なされます。「コメディ」という言葉も、彼の楽しい祭「コモディア」からおこったものです。
彼の聖なる植物はブドウの木、蔦(つた)で、動物は山羊、イルカ、蛇、虎です。


●ディオニュソスの生まれ
彼は生まれた時から悲劇的でした。

ゼウスが人間の娘セメレに手をつけた後、嫉妬心に駆られたヘラが、乳母に変装し、セメレのもとを訪れて、「もしも本当の神ならば、その真の姿を見せてくださるはずです。
本当の姿を見せて、と頼んでみてください」と言いました。セメレは興味があったので、夜やってきたゼウスにその通りの言葉を伝えます。
ゼウスは鼻白みました。なぜなら、彼の真の姿は光り輝く雷であり、人間にはとうてい耐えられるものではないからです。しかし、懇願に負け、ゼウスはその姿を見せます。そして、セメレは瞬時に焼き尽くされてしまいました。

ところが、彼女の中にあった赤ん坊は無事だったので、ゼウスは自分の太ももに入れて縫い付け、臨月になるのを待ちます。
果たして、ディオニュソスは無事生まれ、「ディテュラムボス(二度生まれた子)」という添え名を与えられました。


●ディオニュソスの成長
ゼウスはこの子供をセメレの姉妹イノに託しますが、ヘラによってイノ夫婦は発狂させられてしまいます。
仕方なく、ニューサのニンフ(妖精)たちの手で育てられることになりました。ディオニュソスという名前も、そのニューサから来ています。ディオニュソスという名前は「ニューサのゼウス」を意味します。

彼はたくましく成長し、ある時、ブドウの実を見つけ、それから酒を造る方法を発見しました。
彼はそれを飲んで一度狂いますが、プリュギア(小アジアの一地方)の大母神キュベレによってすぐに快復し、この素晴らしい飲み物を広めるべく、旅に出ることにしました。


●ディオニュソスの旅
彼の旅は長いものでした。そして、行く先々で事件を起こしました。
まず、トラキアの山を下りて、ギリシアに入ります。途中、トラキアでクルゴス王に迫害されたのを皮切りに、ギリシア各地で迫害されたものの、それはむなしい抵抗でしかなく、すべての敵が狂わされて、あるいは生きたまま八つ裂きにされました。

ティレニア海(イタリア南部の海)では海賊にとっつかまるという事態に陥りましたが、神の力で難なく乗り切っています。海賊たちは海へ逃れ、そのままイルカになりました。

ナクソス島では、あるひとりの娘を見つけます。それはミノス王の娘アリアドネで、ミノタウロスを倒した英雄テーセウスによって捨てられたのでした。ディオニュソスは彼女に一目惚れし、妻にすることを決めました。

さらに彼の旅は続き、最終的にはインドにまで達しています。トラキア、そしてギリシアに戻った後も迫害は続き、そのたびに敵は狂わされ、あるいは鳥やネズミに変えられました。

彼の旅の終わりは、母セメレを探すことでひとまずやって来ます。
冥界へ下り、母を見つけ、彼女にテュオネという名前をつけて、オリュンポスに連れ帰ります。そして、神々は彼を眷属に引き入れることを了承しました。かくて、彼は正式に神々の仲間入りを果たします。



●亜種・別名など
ディオニューソス/バックス/バッカス

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