« デュラハンDullahan | トップページ | エキドナEchidna »

2014年7月 3日 (木)

アハ・イシュケEach-uisge

●アイルランドの水悍馬
アハ・イシュケはアッハ・イーシュカEch-uskya/Ech-ushkyaとも呼ばれる、水場の怪物です。

時に海藻を髪にまとわりつかせた男性の姿を取ったり、ブーフリーBoobrieと呼ばれる怪鳥の姿で現れることもありますが、伝承の多くは、美しい馬の姿を取るとしています。
アハ・イシュケという名前も、そのままゲール語(アイルランド語)で「水の馬」を表わします。

いつもは湖などの水場で跳ねていますが、愚か者がアハ・イシュケの背中に乗ったが最後、そのまま水の中に引きずり込まれ、全身をむさぼり食われます。背中は不思議な粘着力があり、人間をしっかり捕らえて離しません。

同じ水悍馬ということで、ケルピーと混同されますが、ケルピーは川などに棲むのに対し、アハ・イシュケは湖沼や塩水湖などを主なテリトリーとしています。

なぜか肝臓だけは食わずに残すとされ、しばしば水死体の肝臓だけが浜辺に打ち上げられるのはアハ・イシュケに食べられたためだと考えられました。


●万聖節とアハ・イシュケ
ある伝承によれば、アハ・イシュケは万聖節(11月1日)の頃、最も活発になると言われています。この時ばかりは人間ばかりでなく、家畜も襲って食べます。

なぜこの時期に活発になるのかと言えば、ケルトの祝祭であるサムハイン祭がこの時期だからです。
サムハイン祭とはサムイン(ゲール語〈アイルランド語〉で「夏の終わり」を意味する)とも呼ばれる祭で、ケルトの新年と冬の訪れを祝うものであり、先祖の霊が子孫の家に戻ってくるのを祝福する祭でもあります。
同時に、悪霊が最も悪さをするころとも考えられ、人びとはしばしば先祖が悪霊に邪魔されずあの世に帰れるように、また迷うことなく天昇できるように、家畜を生贄として捧げました。

それが、水場付近で悪さをする野生馬との存在と合わさって、家畜を水霊へ生贄にする→生贄が(恐らくは魚や水棲動物に食い荒らされて)ボロボロになって水辺に浮かぶ→あの水悍馬(アハ・イシュケ)のせいだ!と連想したのではないかと思われます。

ちなみに、サムハイン祭自体は、その後キリスト教に取り入れられ、万聖節(ハロウマスHallowmas)の前夜祭、すなわちハロウィーンとしてキリスト教徒の間に広まりました。



●亜種・別名など
アッハ・イーシュカ/アハ・イシュカ/ブーフリー

« デュラハンDullahan | トップページ | エキドナEchidna »

怪物一般」カテゴリの記事