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2014年7月 3日 (木)

ゴーレムGolem

●魂のない人形
ゴーレムはユダヤ伝承に出てくる、土くれから作った人形のことです。魂はありませんが、動くことができ、また簡単な話や命令を理解するので、召使いとして役立ちます。

ゴーレムの造り方は、まず神聖な儀式(断食や祈祷など)のあと、泥か膠(にかわ)をこねて人形を作ります。
そして、神や生命を意味する言葉を唱え、その額(あるいは舌の下、唇の下、胸など)に「Emeth(真理)」または「シェム・ハ・メフォラシュSchem-ha-mphorasch(神の名)」「Emet」「AMTh」という文字を書いた羊皮紙を貼り付けます。
すると、ただの土くれに過ぎなかった人形が、生命をもって動くようになるそうです。


●ゴーレムの壊し方
ゴーレムは単純な命令ならば理解するので、単純作業に向いています。ただ、その分融通が利きませんので、彼らを思い通りに動かすのはちょっとしたことです。
また、家から出してはならないとか、昼間しか動かしてはならないといった制約があり、それを破るとゴーレムは急に凶暴になり、暴れ出し始めます。そうなると、もはや壊すしか手がありません。

放っておいても、身体が日に日に増大していくので、いつか壊さなければなりません。

その場合は、「Emeth」ならば最初の「E」を消して「meth(死)」にすれば、像は崩れて粉々になります。「シェム・ハ・メフォラシュSchem-ha-mphorasch」ならば最初の「schem」、「Emet」ならば「E」、「AMTh」ならば「A」の文字を消すと、同様のことが起きます。

羊皮紙を抜くと彼らは休みに入りますが、場合によっては、羊皮紙を抜いた途端に粉々になることもあるようです。


●旧約聖書のゴーレム
ゴーレムという言葉は旧約聖書にも出てきます。「詩編」第139章16節の「あなたの目は胎児の私を見られ~」という言葉の「胎児」に当たる言葉がそれです。もともと、ゴーレムとはヘブライ語で「胎児、無形」を意味する言葉でした。

すなわち、ゴーレムを造るということは、神のみわざを真似することに他なりません。その点では、人類最初の男アダムも、広い意味でのゴーレムなのです。


●ゴーレムに似た話
ちなみにヨーロッパや中東の伝承には、ゴーレムに似た話がよく出てきます。ギリシア神話の神プロメテウスは、粘土と水で人間を造りましたし、エジプトの創造神クヌゥムは、ろくろの上で人間とそのカー(魂魄の魄に当たるもの)を作り上げました。
アッカド神話や北欧神話にも同様の話が残っています。


●フィクション作品に登場するゴーレム
フィクション作品においては、ゴーレムは創造主の命令を忠実に聞く恐るべき門番として登場します。

素材もさまざまで、粘土の場合もあれば、貴重な鉱物を使うこともあり、後者の場合は「○○ゴーレム」(○○が鉄ならアイアン・ゴーレム、ミスリルならミスリル・ゴーレム)と名付けられることが多いようです。

この場合のゴーレムは魔法を使っているので、ユダヤのゴーレムのような、「文字を消す」や「羊皮紙を抜く」といった手法は使えません。苦労して戦って、その素材を削り取り、動けないようにするほかないのです。



●亜種・別名など
タロス/フランケンシュタインの怪物

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