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2014年7月 4日 (金)

ヘラクレスHercules

●ヘラクレスの誕生
ヘラクレス(ヘーラクレース)はギリシア・ローマ神話の英雄、そして神です。その名は「ヘラの栄光」を意味し、ヘラ=自然の猛威に対する人間たちの力を象徴していると言われます。

彼の両親は英雄ペルセウスの子孫で、それぞれアムピトリュオン(輝く者)とアルクメネ(力の女性)という名前でした。ゼウスは人間にも神々にも強力な助っ人となる存在を作りたいと思い、アムピトリュオンに変身して、アルクメネと交わりました。
その直後、アムピトリュオン自身も戦争から帰還してアルクメネを抱きました。この結果、双子を生みます。ヘラクレスとイピクレスです。

実は、ゼウスはオリュンポス神族の前で、予定日に生まれる子供に全ギリシアを支配させよう、と約束していました。
そこでヘラは、ヘラクレスに資格を与えないため、ステネロスという神の妻に早産させるよう取りはからいました。その結果、彼女はエウリュステウスという子供を、本来ヘラクレスが生まれるであろう日に生み、ヘラクレスたちはヘラに誕生を遅らせてしまっていたので、予定日には生まれませんでした。
その結果、全ギリシアを支配するのはエウリュステウスということになり、ヘラクレスはヘラによって苦難の道を行くことになります。


●ヘラクレスの功業
ヘラクレスは生まれた時から怪力でした。まだ襁褓(むつき=おむつ)も取れないある日、彼らの寝所を二匹の蛇が襲います。イピクレスは恐れましたが、ヘラクレスは何と、その小さな手で二匹を締め上げ、殺してしまいます。

この力の強いに驚いたアムピトリュオンは、成長するに従ってさまざまな師匠に彼を預けました。
まず、アムピトリュオン自身は戦車の使い方を、アウトリュコスに相撲を、エウリュトスに弓を、カストルに武器の使い方を、リノスによって竪琴を、それぞれ習いました。

しかし、ある時師匠のひとりリノスを竪琴で殺したため、彼は放逐されます。アムピトリュオンはこの神の子を羊飼いに預けました。18歳になると、彼はいっそう強くなり、羊を襲いに来たライオンを殺します。

その後、彼は結婚しますが、ヘラにより遣わされた復讐の女神リュッサによって狂気に襲われ、自分の妻と子供を惨殺してしまいます。

彼は再度放逐され、この狂気を鎮めるにはどうすればよいか、アポロン神に伺いを立てます。結果は「エウリュステウスによる十二の功業を果たせば、不死になる」というものでした。


●ヘラクレス十二の功業
以下、十二の功業について詳しく書くと長くなりますので、ダイジェストでお送りします。

1)ネメアのライオン退治
ネメアの地のライオン退治。彼は素手でこれを殺し、皮をはぎ、それで不死身になる上衣を作りました。残りはエウリュステウスに献上しました。

2)レルネのヒュドラ退治
レルネの九頭竜ヒュドラ退治。彼はその再生する首を焼いた薪で叩くことによって再生を防ぎ、最後の頭を切り落として埋めました。それから矢をヒュドラの血に浸し、毒矢を作りました。

3)エリュマントスのイノシシ退治
エリュマントスの地を荒らしていたイノシシの退治。ヘラクレスはそのイノシシを捕らえ、持ち帰ります。

4)ステュムパロスの鳥退治
ステュムパロスの地には翼もくちばしも爪も鉄でできた怪鳥が群れていました。人肉を喰らい、飛び立つと太陽の光がさえぎられたので、ヘラクレスは彼らを真鍮のシンバルで脅し、矢で退治しました。

5)ケリュネイアの牝鹿
ケリュネイアには蹄が青銅、角が黄金の不思議な牝鹿がいたので、エウリュステウスよりその牝鹿を捕らえてくるように命令されました。

6)アウゲイアスの牛小屋
アウゲイアス王の牛小屋を一日で掃除する功業。ヘラクレスは牛小屋の壁に穴を空けて、アルペイオス川とペネイオス川の流れを変え、牛小屋の汚物を流しました。

7)クレタ島の牡牛
ポセイドンに捧げる牛の狂乱を鎮める作業。クレタ島のミノス王は怖くてたまらなかったので、たまたまクレタ島にいた彼に救いを求めました。

8)ディオメデスの牝馬
アレスの息子でビュストン人(ブルガリア人)の王ディオメデスは、牝馬を人肉で飼っていました。そこで、ヘラクレスは有志とともにこれらの恐ろしい牝馬を捕らえました。ディオメデスは牝馬の餌にされました。

9)ヒッポリュテの帯
カッパドキアのアマゾンの女王ヒッポリュテは立派な帯を持っていたので、エウリュステウスの娘アドメテはそれがどうしても欲しくなりました。
そこで、彼は有志を募ってアマゾンへ向かいます。途中、何度か戦いがありましたが、最終的に帯を手に入れることに成功しました。

10)ゲリュオンの牛
ゲリュオンは三つの身体を持つ怪物で、イベリアの西岸を支配していました。彼は赤い牡牛の群を持ち、エウテュリオンという牛飼いとオルトロスという犬に守らせていたので、すべて討ち果たしました。

11)ヘスペリスたちの黄金の林檎
アトラスの娘ヘスペリスたちが守っている黄金の林檎を取ってくる功業。途中、アンタイオスなる山賊の怪物に襲われますが、ガイア(大地)に足をつけている間は不死身だというこの怪物を、地から引き離し、ベア・ハッグで絞め殺しました。
一説には、天球を支えるアトラスが代わりに黄金の林檎を取ってくるので、ヘラクレスに一時その天球を持つことを託したとも言われています。

12)冥界への旅
最後の旅は、冥界の番犬ケルベロスを捕らえてくるというものでした。彼はヘルメスに案内させ、ケルベロスを見事捕まえ、ハーデスから一時借り受けることに成功します。
エウリュステウスに見せた後、この犬はハーデスの元へ返されました。


●その他の功業
ヘラクレスは12の功業を果たし、見事解放されますが、その後もじっとしていたわけではありませんでした。
奴隷となって3年間過ごしたり、アルゴ探検隊に参加したり、トロイアの王ラオメドンの娘ヘシオネを助けて友人に与えたり、牛小屋を掃除すれば褒美をやると言って嘘をついたアウゲイアスを討ち滅ぼしたり、とにかくたくさんの冒険を重ねました。


●ヘラクレスの最期
ヘラクレスの最期は、あっけないものでした。エウリュトス王を討ち滅ぼし、その娘イオレを連れ出したのはいいけれど、彼はオイネウス王の娘ディアネイラとも結婚の約束を取り交わしました。

エウエノス川を渡る際、ディアネイラをケンタウロスのネッソスに託したところ、彼はディアネイラを犯そうとしたので、ヘラクレスは彼を弓矢で射殺します。
ネッソスは死に際に、自分の血をディアネイラに与え、夫の愛と誠実を得ようとするならば、その血を彼の衣服につけるがいい、と言い残しました。
果たして、ディアネイラがその通りにしたところ、ヘラクレスは全身の血が文字通り燃え立つのを感じました。ネッソスの血は猛毒だったのです。

自分の最期を知ったヘラクレスは、自分で火葬の薪を積み、誰かに火をつけてくれと頼みました。仲間の父ボイアスがしぶしぶ承諾し、火をつけると、彼はボイアスに弓矢を送りました。そして、静かに目を閉じ、最期の瞬間を待ったのです。

ところが、いよいよ火がヘラクレスに迫ろうとした時、天上から雷が降ってきて、ヘラクレスを連れ去ってしまいました。彼はオリュンポス山の神々から、神となる資格を得たのです。
ヘラも彼を許し、自分の娘ヘベをめあわせ、その後彼はオリュンポス12神のひとり(異説あり)として幸せに暮らしたということです。



●亜種・別名など
ヘーラクレース/ヘルクレス

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