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2014年7月 4日 (金)

ヘルメスHermes

●ギリシア神話の伝令神
ヘルメス(ヘルメース)はギリシア神話の神で、オリュンポス12神のひとりにも数えられる有力な神です。
神々の伝令役、使者を務めるほか、牧畜、商業、泥棒、旅人、賭博などを守護します。ローマ神話では「メルクリウス(英語のマーキュリー)」に当たり、水星にその名前がつけられています。
彼はゼウスと巨人神アトラスの娘マイアの間の子供であり、アルカディア(ギリシア中央部)のキュレネ山の洞穴で生まれました。


●ペラスゴイ人の神
彼はギリシアの先住民族ペラスゴイ人の神であり、ドーリア人の侵入に従ってギリシア全土に広まったと言われています。
家々には彼の男根をモチーフにした像(ヘルマイ)を置くことがはやり、また、この像は危険な道中を守護する存在として、分かれ道や町の十字路に多く立てられました。ヘルメスが死者の霊を冥界へ導く役割を担ったのも、こうした信仰が元になっていると言われています。

彼はまた、神々の使者として飛び回る難しい役割を果たしました。ゼウスの御心を人間が知ることができるのも、ヘルメスの存在あってこそです。
同時に、その疲れを知らぬ姿は、多くの競技者の信仰を集めました。オリンピアの競技場には彼の像が立っており、拳闘と競走は彼の考案だと言われています。

ヘルメスの姿は、しばしば丸い翼のついた旅行帽ペタソスをかぶり、同じく翼の生えたサンダルを履き、手には蛇の巻き付いた翼のある杖(カドゥケウス、もしくはケリュケイオン)を持った若者の姿で表されます。


●早熟な神
彼はオリュンポス12神の中で最も早熟な神として知られます。
早朝にマイアから生み落とされた彼は、昼にはもう揺りかごから這いだし、ピエリアで飼われているアポロンの牝牛の大群へと近づきます。

そして何を思ったか、その中から50頭を選び出し、盗んだのです。
牝牛たちには足跡でばれないように後ずさりさせて、自分は巨大なサンダルを履いて、ピュロスの地まで移動させ、しかるのちに二頭を選び出して焼き、残りは洞穴の中に隠しました。
そして、何食わぬ顔でキュレネの洞穴に帰り、再び揺りかごの中に戻ったのです。

アポロンは戻ってみると牝牛の数の足りないのに気づき、占いでヘルメスのしわざと断定しました。
もちろんヘルメスは何知らぬ顔です。アポロンは赤ん坊の彼をオリュンポスの法廷に連れて行き、神々はヘルメスのずる賢いことに笑いました。笑いつつ、ゼウスは牛を返すようにと裁定したのです。

ただ、彼らの和解は意外なところからなりました。
ヘルメスは、帰る前に洞穴の中で草をはんでいた亀を捕まえ、その甲羅を剥ぎ、犠牲にした牛の腸を使って竪琴を作っていたのです。
アポロンはそれを見るとどうしても欲しくなり、結局、カドゥケウスの杖およびすべての牛と引き替えに、それを手に入れました。

かくして、両者はこの上ない親友となり、アポロンは音楽の神、ヘルメスは畜産の神として崇められることになったということです。


●創意工夫の神
彼は創意工夫が大好きで、進んで他人の役に立とうとしたので、誰からも好かれました。私生児にもかかわらず、ヘラにも好かれたと言いますから、その人気の度合いが分かります。

特にゼウスたちの行動の陰には、必ずと言っていいほどヘルメスの存在があり、時に敵(テュポン)から助け出し、時に浮気相手を案内し、時に従兄弟たちを牢獄から解放しました。

ヘルメスが冥界へ死者の霊を連れてゆく役割も担っていることはさきに述べましたが、死者の霊を逆に地上へ戻す役割も担っていたことはあまり知られていません。

ギリシア神話最大の詩人オルフェウスが、妻エウリュディケを冥界から連れ戻しに行った時、彼はその旅に随行しています。


●ヘルメスの恋愛
ヘルメスは他の神々と同様に、さまざまな恋愛沙汰を起こしています。主要な女神だけでも、ペルセポネ、ヘカテ、アプロディテと関係を持っていたと言いますし、ニンフ(妖精)の数も含めたらどれくらいの数になるか想像もつきません。
人間の娘とも関係を持ち、一説によれば、「パニック」の語源ともなった農耕神パンの父は、このヘルメスだと言われています。



●亜種・別名など
ヘルメース/メルクリウス/マーキュリー

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