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2014年7月 4日 (金)

ヒポグリフHippogriff

●ローマ生まれの怪物
ヒポグリフはグリフォンと馬を掛け合わせたような怪物です。その名前も、「馬」を意味するラテン語「hippo」と、「グリフォン(グリフィン)」を表すラテン語「gryphios」から来ており、上半身はグリフォン、下半身は馬という奇妙な怪物です。

この怪物が生まれたのは、実は神話でも民間伝承でもありません。ローマの詩人ウェルギリウスが、著書「アイネーイス」の中で「Iungeant aim grypes equis(グリフォンと馬をかけあわせる)」という言葉を「不可能なことを試みる」という意味で使ってから、人びとの口に上るようになったものです。

グリフォンは馬が、主に食欲的な意味で大好きです。その馬とグリフォンが掛け合わされることは不可能に近いし、第一サイズが合いません(グリフォンはライオンの8倍の大きさがあるとされています)。
そこから、不可能のきわみ、不可思議の権化という意味で、この怪物の存在が考えられたのです。


●ヒポグリフの伝承
16世紀の詩人、ルドヴィコ・アリオストは、叙事詩「狂えるオルランド」の中で、ヒポグリフについて言及しています。それによると、ヒポグリフは、グリフォンが牝馬に生ませた怪物であるそうです。

元々はサラセンの魔術師アトランテスの騎馬でしたが、シャルルマーニュ大帝(カール大帝)の姪である女騎士ブラダマンテとの一騎打ちに負け、その騎馬を手放します。
ブラダマンテは魔術師の養子であった騎士ロゲロを愛していたため、その騎馬はロゲロの手に渡ります。
そして、ロゲロは、魔法の手綱の力を借りてこの怪物を乗りこなし、各地で活躍しますが、最後には月に行って瓶詰めにされたオルランド卿の「知恵」を探し出し、地上に持ち帰ってその狂気を直したとされています。


●ヒポグリフの姿
ヒポグリフの姿についてはいろいろな伝承があります。

一般には、前半部は父親であるグリフォンにそっくりの鷲の頭、かぎ爪、羽毛の生えた翼であり、後半部は母親である馬にそっくりという姿ですが、「アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)」では真っ黒な駿馬に羽が生えた姿で描かれています。
一説によれば、この羽は鷲の持つそれではなく、同じ幻獣であるペガサスのそれだとも言われています。

ちなみにグリフォンと言えば、ライオンの足を持つということですが、ヒポグリフの場合、なぜか印章などに見られる前足は鷲のそれであり、ライオンのものではありません。

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