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2014年7月 5日 (土)

河童Kappa

●水の妖怪
恐らく妖怪に興味のない人でも、河童の名を知らない人はいないと思います。
日本を代表する水の妖怪であり、頭に皿を乗せた子供のような小さい姿をしています。小柄ながら相撲が大好きで、キュウリをはじめとする夏の野菜や人間の肝、尻子玉(尻から出る玉のようなもの)を好物としています。

湖沼に棲む者が多いですが、海や山に棲む種もいると言われ、そのバリエーションは多岐にわたります。
水中の生活に適しており、まる一日は水の中に潜っていられます。河童の骨は水につけると見えなくなると言われ、その死骸を見つけることは困難です。

彼らは文字通りのおかっぱ頭で、その上に皿を乗せた、猿のような顔をしています。顔は赤く、目は黄色でまん丸です。甲羅を持つものと持たないものの二種類があり、どちらも有名です。

手の指には水かきがあり、足の裏には吸盤がついていて、小さな尻尾を持ちます。生殖器は外側からは見えません。
両腕が身体の中で繋がっており、片腕をぐいと引っ張ると、どこまでも伸びます。引っこ抜けてしまう場合もあるようです。身体の表面はぬめぬめとしており、非常に生臭い臭いがします。

また、肛門が三つあり、そこから噴き出されるおならは強烈な臭いを持つと言われています。まともに嗅ぐと即死することさえあると言いますから、恐ろしいものです。


●河童の好物
河童の好物はキュウリなどの夏の野菜です。特にキュウリの先につく花は大の好物です。キュウリ以外にも茄子やかぼちゃ、胡麻の茎などを食うとも言われています。

その一方で、恐ろしいものを好物とする種もいます。
ある河童は、人間の生き肝と尻子玉を好物としており、襲われた人間はピンポン球を抜いたもののように、ぽっかり肛門に穴が空くそうです。

もっとも、これには別の解釈もありまして、水に落っこちて溺死した人間(むろん、河童のせいでなく!)を人びとがよく観察した結果だとも言われています。
肝がないのは、体内に魚が侵入し、内臓を食い荒らした結果。肛門にぽっかり穴が空くのは、溺死した人間の体内に腐敗ガスが溜まり、身体が膨らむのと同時に、括約筋の働きも止まるので、肛門が開ききって、まるでピンポン球か何かを抜き出したような形になるというのです。

一説には、河童が好物としているのは肝の方だけであり、尻子玉は龍王に捧げるとも言われています。この他に、血を吸う河童もいます。


●河童と相撲と頭の皿
河童はどの種類も、おおむね相撲を取るのが大好きだと言われています。
彼らは小さいながら、人間の大人顔負けの怪力を誇り、時折それを誇示するために、人間と相撲を取ると言います。勝てば喜び、負ければ何度でも、相手が疲れ果てるまでやります。

そんな彼らの弱点は、頭の皿です。ここに水をたたえていないと、からきし力が出ないのです。
そのため、河童に出遭ったら「まずお辞儀をしろ」と言われています。そうすると、河童もお辞儀をするので、頭の皿から水が流れ、力が抜けるので、見事河童から逃れることができるという寸法です。

逆に、水の中にいる河童は、文字通り水を得た魚のように動き、怪力を発揮して、牛や馬を引きずり込むこともあるそうです。


●河童の超能力
河童は自分の姿を消す超能力を持っています。また、人間や動物に化けたり、毛鞠(けまり)のようなものに変身する力を持っていると言います。
また、人や家畜の中に入り込むことができ、子供などが取り憑かれると、一日中川や沼を見つめ続け、最後には水に入って溺れ死にます。もしも、そのような子供たちを見つけたら、僧侶に頼んでお祓いをしてもらわなければなりません。

彼らはまた、金属による切り傷や接骨のためによく効くクスリを作ることができます。このクスリは「河童膏(かっぱこう)」と言われ、しばしば人間に捕らえられた河童が、解放される条件としてこのクスリを渡すことがあります。


●河童の繁殖
河童はオスもメスもいますが、繁殖する時は人間の力を借りることがあります。川遊びをしている女の子を見かけると、その中に入り込んで身ごもらせてしまうのです。

人間の出産は十月十日(約280日)ですが、河童の場合はその3分の1の期間、3か月ほどで、12匹もの子供を生むと言われ、生まれた河童はすぐに水の中へと入ってしまいます。


●河童の起源
河童の起源については、主に三つの説があります。

第一の説は、中国大陸から海を渡って来たというものです。

彼らは、もともと中国の黄河上流に棲んでいましたが、もっと棲みよい場所を求め、黄河を下り、海に出て、東シナ海を越え、日本にやって来ました。
彼らは球磨川(くまがわ)の上流に住居を構えると、実に9000匹近くまで増え、その族長は「九千坊」と呼ばれました。

九千坊たちは数をたのみに、人間の畑を荒らし、女子供を襲ったので、肥後の国(熊本県)に来た加藤清正が、河童の天敵である猿を肥後じゅうから集めてきて九千坊に向かわせます。
さしもの河童もこれにはかなわず降参し、隣の筑後の国(福岡県)の筑後川上流へ棲むようになり、水の神様の水天宮につかえて日本中に広まっていったということです。

第二の説は、もともと藁で編まれた人形が、生命を吹き込まれて河童となったという説です。

大和(奈良県)の三笠山に、春日大社を造営した時のことです。工匠の内匠頭(たくみのかみ)が人手を得るために、藁を十字に編み、生命を吹き込みました。
すると、人形はするすると動きだし、見事春日大社をとどこおりなく完成させました。その人形は川の中に捨てられましたが、生き延びて河童となりました。河童の腕が身体の中で繋がっているのは、その人形時代の名残だと言われています。

第三の説は、もともと水神として崇められていたものが、のちに零落して河童になったという説です。
河童の方言として、メドチ、メットゥチ、ミンツチなどがありますが、これは龍神の異名である「ミヅチ」がなまったものだと言われています。


●河童と水神
河童は水神と密接な関係を持っています。

彼らがキュウリや相撲を好きだというのは、昔、神事にキュウリなどの初なりの野菜や相撲を奉納した名残であり、水神の下に河童がいるというのは、神が水の精霊を打ち負かすことにより、農耕に欠かせない水の供給を約束させたことに通じます。

もっとも、河童の中には水神としての性質を強く持っているものもあるようです。
たとえば、三重県の河童であるシリコボシ、ゴボシは「竜宮さん」と言われています。竜宮とはその名の通り、竜(=水神)の宮、あるいはその住人を表します。水神=河童という考え方もまた根強いのです。


●河童のミイラ
面白いことに、日本各地には河童のミイラというものが残っています。
その正体は、猿などの骨に亀の甲羅や魚の下半身をくっつけたもので、これをもって「日本には河童が実在した!」と騒ぎ立てる人もいますが、実際はヨーロッパ人の渡来とともに、マーマン/マーメイド伝説が持ち込まれ、それを聞きつけた商人たちが、ヨーロッパ人の歓心を引こうと作り上げたものだと言われています。



●亜種・別名など
カワタロウ/ガッコ/ガッタイ/ガッタロ/ガッタロー/カンキチ/ゴンゴ/シバテン/淵猿/カワエロ/川猿/メドチ/ガワイロ/カワッパ/シリコボシ/ゴボシ/ガアタロ/河小僧/祇園坊主/ガオロ/シイジン/ミンツチカムイ/ガラッパ/ガウル/ガラル/弥々子河童/一目入道/ワロドン

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