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2014年7月 5日 (土)

マンドラゴラMandragora

●植物の怪物
マンドラゴラは「マンドレーク」「アルラウネ」とも言い、釣り鐘状の紫の花と、オレンジ色の実を持ち、人の形をした根を持っています。
マンドラゴラの名前はペルシャ語の「愛の野草」を意味する言葉から来ており、アルラウネは古代ドイツ語の「秘密に通じている」という意味の言葉に由来します。

根の部分が人間の形をしており、様々な薬効を持つことから、古くより不思議な草として珍重され、日本にも「曼荼羅華(まんだらげ)」の名前で持ち込まれたことがありました。

伝説によれば、男と女の二種類のマンドラゴラが存在し、その外見は人間の男性、女性にそれぞれ似ています。白いマンドラゴラは男性であり、黒いマンドラゴラは女性です。


●マンドラゴラの薬効
マンドラゴラの実は有毒であり、麻酔や麻薬、催眠剤としての効果を持ち、根は古代ギリシア・ローマの昔から催淫剤や媚薬としての効力を持つとされてきました。
かのクレオパトラも、この薬を飲んでいたとされています。「旧約聖書」の「創世記」および「雅歌」にも「恋ナス」の名前で登場しており、媚薬として使われていたことが分かります。

媚薬として用いられる場合は、女性相手には男の、男性相手には女のマンドラゴラが効くと言われています。宝探しや敵の攻撃から身を守る護符として使われたこともあったようです。
かのシェイクスピア作「ロミオとジュリエット」にも、「仮死」をもたらす薬として登場しました。


●マンドラゴラの伝承
マンドラゴラは死刑囚の体液が落ちるところに生えるとされてきました。男の死刑囚であれば雄草、女の死刑囚であれば雌草が生えます。
また、夜になると赤く光るとされます。
追いかけると地中に潜ってしまいますが、小便をかけると硬直するという伝承もあります。

それより、この草について最も知られるのは、地中から引き抜くと、あらゆるものを死なせる叫び声を発するとする点でありましょう。それがこの薬草をいっそう恐ろしいものにしてきました。

引き抜くには一般的に犬を用います。地中から根もとが見えるところまで掘り返し、根の周囲に縄をくくりつけ、耳を塞ぎ、犬をけしかけて一気に引っ張りあげます。
そうすると、叫び声で犬は死にますが、人間は死なずに無事にこの草を手にすることができるのです。

魔法目的で用いる場合、根を毎晩白ワインで洗い、絹の敷布団で寝かせて黒ベルベットの掛布団をかけます。そうすると、夢にマンドラゴラが現れ、願いをかなえてくれるのだそうです。

この草を煎じた薬を飲むと洞察力がすぐれますが、飲み過ぎると、虚栄心が強くなり、精神障害をもたらすとされました。


●マンドラゴラの正体
マンドラゴラはその実在が長く信じられた草のひとつです。
ヨーロッパから見て遙か東の彼方、中国にマンドラゴラが流通し、千金で取引されると言われていました。むろん、これは朝鮮人参に他なりません。

別の説としては、この草は神がアダムに先だって作ったものだというのがあります。
しかし、神にとって今ひとつだったので、改めて土くれからアダムを作り直し、人間としたのです。ゆえに、マンドラゴラは人間に深い恨みを持っており、チャンスをうかがって人間に害をなそうとしているということです。



●亜種・別名など
マンドレーク/アルラウネ/アラウネ/モリー

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