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2014年7月 6日 (日)

ミノタウロスMinotaur

●牛頭(ごず)の怪物
ミノタウロスはギリシア神話に登場する怪物です。
頭が牡牛、身体が人間という姿をしておりますが、サイズも腕力も並はずれており、人間を襲ってはその肉を喰らいます。
一応、アステリオス(アステリオン)という本名を持っておりますが、一般には「ミノス王の牡牛」を意味するミノタウロスという名前で通用しています。


●ギリシア神話のミノタウロス
ギリシア神話によれば、彼はパシパエという女性の道ならぬ恋の末に生まれたとされています。

パシパエはクレタ王国の有力な王ミノスの后です。クレタ王家は代々、守護神である海神ポセイドンに牡牛を捧げていたのですが、ある時、生け贄として用意された白い牡牛にパシパエが魅せられてしまい、それを隠して別の牛を代わりに捧げました。

しかし、そんな企みに騙されるポセイドンではなく、彼は報復としてパシパエが牡牛を好きになるという呪いをかけます。
パシパエは牡牛に夢中になり、交わって牛のような頭を持った怪物を産み落とした。それがミノタウロス(アステリオス)です。

ミノス王はその義理の「息子」を、名建築家ダイダロスに命じて作らせた迷宮に閉じこめます。
この迷宮は、壁面に諸刃の斧(ラビュリス)のレリーフが彫られていることから「ラビュリントス」の名前で呼ばれました。英語で迷宮を意味する「ラビリンスLabyrinth」という言葉は、ここから来ています。

王はさらに、アテナイ(アテナ市)から毎年7人の少年少女を譲り受け、生け贄として迷宮に送り込みました。
アテナイの王子テーセウスはそれを憂慮し、この怪物を退治することを決意します。彼は7人の生け贄のひとりとなってクレタ島へと赴きました。

テーセウスに一目惚れしたミノス王の娘アリアドネーは、この英雄に「役に立てば」と一降りの剣(青銅の棍棒説もあり)と糸の束を渡します。糸の束は帰り道を確保するためのものです。

体格差をものともせず、首尾良くミノタウロスを殺したテーセウスは、あらかじめ張り巡らせておいた糸を辿って無事この迷宮から抜け出すことができました。


●牛祭
この怪物は、クレタ島で行われていた大祭をモチーフにしているという説があります。
当時、クレタ島では牡牛を崇拝しており、それにまつわる神殿がいくつも建てられました。パシパエに呪いをかけたポセイドンは海神ですが、一方で牛の神という面も持っています。

さて、その大祭ですが、牛の覆面を被った祭司が舞い踊り、何頭もの牛が辺り一帯を駆け回ると言う、相当派手なものであったようで、中でも、少年少女がその突進してきた牛の角をつかみ、空中にヒラリヒラリと舞い上がるイベントは、とりわけ人々の人気を集めていました。
クレタ島内のクノッソス神殿跡にも、その様子を描いたレリーフが残っています。

もっとも、このイベントは事故率の高い、大変危険なイベントでもあったようで、しばしば怪我人や死者が出たと言います。そこから、

「クレタ島には少年少女が参加する祭がある。死傷者がたくさんでるような危険なもので、その主催者は牛の仮面を被っている」
「クレタ島には少年少女を喰らう危険な怪物がいる。それは牛の顔をした人間だ」

となって、ミノタウロスの伝説に繋がっていったのではないかと考えられます。



●亜種・別名など
アステリオス(ミノタウロスの本名)/ミノトーア/牛魔王/牛頭大王

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