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2014年7月 6日 (日)

ミュルメコレオMyrmecoleo

●アリ+ライオン=?
ミュルメコレオは「アントライオン」の別名の通り、アリとライオンの二つの性質を持った怪物です。

首から上はライオン、首から下はアリと言われており、元々は旧約聖書の「ヨブ記」において、ヘブライ語で「ライオン」の意味の言葉とされていたのが、なぜかギリシア語でミュルメコレオ、すなわち「アリライオン」と誤訳され、それが人口に膾炙(かいしゃ)したものです。

ミュルメコレオの両親はライオンとアリであり、父親のライオンは肉を喰らい尽くし、母親のアリは芒(のぎ)を喰らい尽くします。
しかし、両者の子供であるミュルメコレオは、父親のように芒を喰うこともできず、母親のように肉を食うこともできないため、餌を摂ることができず、生まれてもすぐに滅びるとされています。

その故事から、人間もミュルメコレオのようになってはならぬ、二心あるものは必ず滅ぶ、二股をかけてはならない、二つの信仰を持ってはいけない……と宗教談義に引用されるようになりました。


●ミュルメコレオの謎
ミュルメコレオはその姿の奇妙さから、その生誕についてさまざまな憶測を呼びました。

古代ローマの地理学者ストラボンや2世紀ごろの著述家アイリアノスは、ライオンの一種としています。
誤訳説も依然有力ではあるものの、誤訳を誤訳のまま放っておいたのは何故か……という部分において謎であり、結局のところ、はっきりしたことは分かっていません。
恐らくは、誤訳がうまく教義にはまったから、その後もミュルメコレオ(アリライオン)のまま語り継がれた……というのが正直なところなのでしょう。

フローベルの「聖アントワーヌの誘惑」では、ミュルメコレオは前半身がライオンで後半身がアリとなっており、生殖器が逆さまについているとされています。

ちなみに、現在のヨーロッパでは、「ミュルメコレオ(アントライオン)」と言えば、日本語で言うところの「ウスバカゲロウ」、および幼虫の「アリジゴク」のことを指します。



●亜種・別名など
アントライオン

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