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2014年7月 6日 (日)

ラファエルRaphael

●治癒の天使
ミカエル、ガブリエルの名前はつとに有名ですが、ラファエルも彼らに劣らぬ高い知名度を誇ります。

もともとはカルデア(トルコ南部)の神もしくは天使であり、ラビエルLabbielと称しておりましたが、その後「神の癒したもう者」を意味するラファエルに名前を変えています。
天使の第一位「熾天使(セラフィム)」にある数少ない存在で(他の位だという説もあり)、ミカエル、ガブリエル、ウリエルらとともに「天界の四大天使」のひとりにも数えられます。

彼は人間の守護者であり、あらゆる癒しを与えてくれます。
旧約聖書で年老いたアブラハムの割礼(性器の皮を切る儀礼)に際して、その痛みを和らげ、また神と戦って腿を負傷したヤコブ(アブラハムの孫)を治療したのも、このラファエルです。
ゆえに、彼をして「医者」「外科医」「「人間の霊魂を見守る者」「癒しを行う輝ける者」と呼びます。


●聖書に見るラファエル
このラファエルが、初めて文献に登場したのは、旧約聖書外典の「トビト書」においてだと言われます。彼はアザリアという青年の姿に扮し、預言者トビトの息子トビアとともに旅をします。

その途上、彼らはサラというひとりの女性に出会います。彼女は悪魔アスモデウス(アスモダイ)に呪われた存在で、過去に七度結婚しましたが、いずれも初夜のうちに夫を失ったので、今では誰もがこの女性を避けるようになったのです。

事態を諒解したアザリア(ラファエル)は、以前にトビアに命じて捕まえさせていた魚を荷物の中から取り出します。そして、その心臓と肝臓、胆嚢を火にくべはじめました。
実は、悪魔はこれらの臓器が火に燻される臭いが大嫌いなのです。

すぐにアスモデウスはサラの身体から飛び出て、エジプトの方に逃れようとしますが、ラファエルはすぐにその後を追いかけて縛り上げました。
こうして悪魔の呪いから逃れることができたサラは、その後アザリア(ラファエル)の勧めによってトビアとめあわされ、二人は倖せな結婚生活を送ったと言うことです。


●ラファエルの役割
ラファエルはその知名度に相応しく、さまざまな役割を持っています。
太陽の補佐役を務め、中級第二位の天使である力天使(ヴァーチュズ)の長を兼任し、南方や西方をつかさどり、第2天と夜風を監督して、「エデンの園」に生えている「生命の樹」を守護します。

「生命の樹」とは、その名の通り生命の象徴となる聖樹のことで、後世にはカバラ学者(ユダヤの神秘奥義の研究者)やフリーメーソンの思想の拠りどころにもなったものです。また、科学や知識、理性などをつかさどります。

しかし、何と言っても、彼の最大の役割は、その名前(ラファエル=神の癒したもう者)からも分かるように、苦しむ人々に救いの手を差し伸べ、癒しを与えることです。とりわけ、預言者トビトの失明を治したことから、眼病の治療に強いと考えられています。

ちなみに、神々の伝令者として世界中を飛び回ることが多いのも、彼の特徴です。
ソロモンが神殿を建てるために神に祈ったところ、神はあらゆる悪魔を支配することのできる指輪を彼に与えましたが、ラファエルはそれを天国から運ぶ役割を与えられました。


●ラファエルの姿
ラファエルはミカエルやガブリエルらとともに、さまざまな絵画やレリーフのモチーフになってきました。
もっとも、そこに描かれる姿と言えば、美しく立派ではあるものの、ミカエルやガブリエルらと較べてそんなに際立った特徴のない普通の青年の姿です。
「トビト書」以外に、これといった派手な活躍を見せることがないからでしょうか。ミルトンの「失楽園」にも「愛想の良い大天使」と書かれていて、後ろの方でニコニコしているような好青年のイメージで描かれます。

彼の象徴は巡礼者の杖と魚です。魚の代わりにその内臓を入れる小箱の場合もあります。むろん、これは「トビト書」にある青年トビアとのエピソードに基づくものです。

彼が生物の前に現れるときは、3枚(6枚説もあり)の大きな羽を持つ姿を取ります。その大きな羽を全身にまとわりつかせて、神々しいまでの威風を漂わせます。

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