« ラファエルRaphael | トップページ | ラウムRaum »

2014年7月 6日 (日)

ラジエルRasiel

●秘密の天使
ラジエルは座天使(上級第三位)の天使の長であり、アクラシエル、ガリツル、ラツィエル、レジエル、サラクエル、スリエルなどさまざまな異名を持ちます。
「アクラシエル」という別名が天使ラグエルと同じため、このふたりは同一の存在ではないかと考える向きもありますが、キャラクター的にはラジエルは記録係、ラグエルは内部監視担当と大きく違っており、別個の存在と考えるのが妥当でしょう。

ラジエルの名前の由来は「神の神秘」もしくは「神秘の天使」を意味する言葉から来ており、その名の通り、「秘密」を取り扱います。

地上と天上のあらゆる秘密を知っており、さらに、それを一冊の本にまとめました。本と言ってもサファイアの石版ですが、この書物は彼の名を取って「セファー・ラジエルSefer Rasiel(天使ラジエルの書)」と呼ばれました。

その内容は72に及ぶ神の名、670に及ぶ密教的な謎、1500項目に及ぶ秘訣となる知恵であり、世界中のありとあらゆる秘密、たとえば宇宙の秘密や魔術・奇跡の起こし方などが書いてあると言います。
ただ、秘密の文字で記されているため、人間がそのまま読んでも理解することはできません。


●天使ラジエルの書
伝説によれば、ラジエルはこの書を人間に与えたいと思い、まず最初に土から生まれた人間アダムにそれを与えたと言います。アダムは楽園追放ののち、この本を失いますが、やがてラファエルの手によってこの本は返されます。

アダムは息子セトにこの書を残し、セトはアブラハムに伝えました。アブラハムはこの書の一部をエジプトに伝えたので、エジプトは魔術や神秘に強いのだそうです。

別の伝承によれば、この書はいったん、自分たちに与えられなかったことを恨んだ天使によって盗まれ、海に捨てられます。
そこで神は「原始の海の王子」の異名を取るラハブに命じてそれを引き上げさせました。やがてこの書は「エノク書」の名で有名な預言者エノクに渡り、「エノク書」を書く時に利用されたと言います。

「ノアの方舟」のノアにもこの書が渡ったことがあり、方舟の技術はこの書によるところが大きいと考えられています。

時代が下がると、巨人ゴリアテを倒した王ダヴィデの手に渡り、次いでその息子ソロモンが所有するに至ります。
ソロモンは72の大悪魔を使役するなど、さまざまな魔術を使ったことで知られますが、その知識の源は「ラジエルの書」の知恵によるものだと言われています。


●実在する「天使ラジエルの書」
実は、「天使ラジエルの書」と称されるものは実在します。
むろん、天使が書いたものではなく、実在の人間が天使の書に擬して書いたものですが、13世紀にはグリモア(魔術書)のひとつ「モーセの剣」でその名が上げられています。

この本には不思議な効能があり、持っているだけで火災の予防になると信じられました。
19世紀には25の版を重ねるに至り、2000年には1701年にアムステルダムで書かれたヘブライ語版をもとに、英語版が発行されました。



●亜種・別名など
アクラシエル/ガリツル/ラシエル/ラツィエル/レジエル/サラクエル/スリエル

« ラファエルRaphael | トップページ | ラウムRaum »

キリスト教・ユダヤ教」カテゴリの記事