« セラフィムSeraphim | トップページ | シレノスSilenos »

2014年7月 6日 (日)

シルフ(シルフィード)Shylph/Shylpeed

●風の精霊
シルフ(シルフィード)は風の精霊です。中世の錬金術師パラケルススが、著書「妖精の書」で言及した存在で、地水火風のうち「風」の属性をつかさどり、地のノーム、水のウィンディーネ、火のサラマンダーとともに「四大精霊」の一つにも数えられます。

一般にシルフShylphとシルフィードShylpeedという二つの呼び名が知られていますが、シルフは種族名で男性の精霊を差す時に使い、シルフィードは女性の精霊を差す時に使います。

シルフィードの綴りについてはこの他にShylphid、Sylphidなど、いくつか存在します。
ちなみに、ゲームで有名になった「SILPEED」は、そのゲームを制作したゲームアーツ社の造語で、正確なものではないそうです(デザインの都合なのだとか)。
種族名については、別に「シルヴェストル」という呼称を使う場合もあります。

シルフの名は「森」「樹木」を表すラテン語シルヴァSilvaと、精霊を意味するギリシア語ニンフNymphを掛け合わせたものであるとも、チョウに変身する昆虫を表すギリシア語Silpheに由来するとも言われます。
前者の名前は梢の間を流れる、爽やかな風のイメージです。後者が青虫なのかサナギなのか、それとも成虫を差すのかは分かりません。


●シルフの伝承
シルフに関する伝承は、あまり多くありません。中世も終わりかけの16世紀に考えられたということもあるのでしょうが、それ以上に、妖精そのものにシルフのような「風」のイメージがあるので、わざわざ新たな伝承を作る必要がなかったことが大きいのではないかと思われます。

むしろ、風の精霊としては、シェイクスピアの「テンペスト(嵐)」に登場する「エアリアル」の方が登場頻度は高いと言えます。
その他に、アレキサンダー・ポープの「髪盗人」に、主人公の少女ベリンダを守護する存在としてシルフのような者が登場するくらいです。

なお、民間伝承では、この妖精は人間と妖精のハーフであり、男女両性の特徴を持つ存在と考えられていました。
次第に、人に束縛されぬ軽やかなスタイルから、風を身にまとう乙女の姿と考えられるようになり、貞節な人は死後シルフになるとも言われました。
オカルトの世界では、シルフは「胆汁質」の人にのみ作用すると考えられています。


●シルフの目撃例
彼らに関する伝承が少ないのは、もう一つ、その実在が長い間信じられてきたことも影響しているかも知れません。
中世の魔法書には「シルフとの出会い方」なんてものが結構多く書かれていて、それを実際に試した人も厖大な数に上ったようです。

ちなみに、この精霊は、「風」らしく高いところを好むようで、彼らに出会いたければ「教会の尖塔に上」ったり、「高い場所に綱を張り、その間を歩く」のが良いとされています。「高山の頂上で逆立ちをする」なんて変わったものもあります。

20世紀初頭に実在した魔術師ダイアン・フォーチュンは、高所恐怖症でありながら高山の頂上に上って、見事シルフと出会うことができたと言われています。


●シルフの名を冠するもの
風のように舞い踊るというイメージから、シルフの名はしばしばバレエダンサーの尊称としても使われます。
「シルフィード」「エアリアル」の名を冠する演目は結構な数に上り、特に「ラ・シルフィードLa sylphide」と名付けられた作品は19世紀バレエの最高傑作と言われ、初演から100年以上経った今でもしばしば演じられます。

また、空を自由に駆けめぐるという辺りから、戦闘機の美称としても使われ、特にゲームやSF作品などでその傾向が強いようです。
こうして「シルフ(シルフィード)」の名を与えられたものとしては、神林長平のSF小説「戦闘妖精・雪風」に登場する「スーパーシルフ」や、さきに少し触れたゲームアーツ社の「シルフィード」などが挙げられます。



●亜種・別名など
シルフィード(女性形)/ジルフェ/シルヴェストル/エアリアル(神の炉)/エリアル/エア・エレメンタル(空気の精霊)

« セラフィムSeraphim | トップページ | シレノスSilenos »

精霊」カテゴリの記事