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2014年7月 6日 (日)

タラスクTarasque

●南仏のドラゴン
タラスク(タラスクス)は南仏の古都・タラスコンの町に棲んでいたと言われるドラゴンの名前です。
レヴィアタン(リヴァイアサン)そのもの、あるいはその子供と言われ、相手は牛の化け物のボナコンともロバともいう説があって、はっきりしていません。

亀の甲羅に鋭い背びれ、山猫の上半身、六本の足にドラゴンの身体というキマイラ(複合動物)であり、その姿はいかにも恐ろしげです。

この怪物は、実際にタラスコンの「タラスク祭」でその姿を見ることができます。タラスクに見立てた巨大な張り子を作り、聖マルタに扮した少女がそのヒモの先端を持って歩く祭です。


●聖マルタと怪物タラスク
この怪物は主に聖マルタとの関わり合いで出てきます。

紀元40年ごろ、一艘の船がローヌ河の河口のサント=マリ=ド=ラ=メールに漂着します。船には『復活のラザロ』ほかふたりの姉妹が乗っていました。
その姉妹のひとり、聖マルタは陸に上がると、河口付近にあるタラスコンの町まで歩を進め、その地を布教の本拠地として選びます。

ところが、この町は当時、ローヌ河に棲むタラスクというドラゴンが荒らし回っていました。そこで聖マルタは、タラスクのところへ乗り込むと、イエスの名を3回唱えて馴化(じゅんか)させ、退治しました(聖水と十字架で抑えつけたという説もあり)。

それを記念して、タラスクを引き回す祭が行われるようになったということです。


●タラスクのルーツ
タラスクのルーツは、紀元前にこの地を拠点としていたリグリア人(ケルト人の一系統)の考案した怪物が元となっていると言われています。

それが何故、キリスト教の聖女に退治されるようになったのかについては、6世紀以降に南仏でキリスト教、特に聖マルタ信仰が広まるにつれて、土着宗教の象徴であったタラスク伝承を、キリスト教の象徴であった聖マルタ伝説が呑み込んでいったという説が有力です。

ちなみに、タラスク祭自体は15世紀に始められたとされ、およそ6世紀の歴史を誇る長い祭で、外国からも多くの参加者が集まるという話です。



●亜種・別名など
タラスクス

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