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2014年7月 6日 (日)

テュポンTyphon

●オリュンポス神族最後の敵
テュポン(テュポーエウス)はギリシア神話に登場する怪物です。

頭から腿(もも)までが人間で、腿から下は巨大な蛇、肩部からは無数の蛇ないしドラゴンが生えており、その燃える目からは炎が噴き出し、口からは溶岩が流れ出すという、恐ろしい姿をしています。

背丈は天までも届き、両腕を広げれば世界の東と西の果てまで届き、また山脈を持ち上げるほどの力を持つとされました。
また、その口からはあらゆる種類の声が発せられ、神々に理解される声、騒々しく吼え立てる声、残忍な獅子の声、奇妙な獣の子の鳴き声に似た音などを発しました。

この怪物は、ギガンテスたちの敗北を見て、怒ったガイアがタルタロスと交わって生んだもので、オリュンポス神族にとっては最後の敵に当たります。

ゼウスを除く神々は、そのあまりの恐ろしさに、エジプトまで逃げて動物に姿を変えたとも言われています。
アテナが皆に戻るよう説得を続けましたが、実際に戻ったのはヘルメスとパンのみでした。


●ゼウス最大のピンチ
ただひとり残されたゼウスは、彼と戦うことを決意します。
テュポンはゼウスよりも強かったと言われていますが、ゼウスは遠方から雷霆(らいてい)を投げ、近くに寄っては金剛の鎌で打つなど、常に彼を圧倒しました。

しかし、取っ組み合いになったところで、彼はとぐろを巻いたテュポンに捕まり、その足の腱を切られてしまいます。
動けなくなったゼウスは、キリキア(小アジア西部)の洞窟に閉じ込められます。同じく奪った腱も熊の皮に隠してしまい込み、番人として竜女デルピュネを置きました。ゼウス最大のピンチです。

ところが、そこにヘルメスとパンが駆けつけます。ヘルメスらはどうやったのか、見事ゼウスの腱を盗み出すことに成功し、ゼウスは復活します。

彼は空から有翼の馬にひかれた戦車に乗って、雷霆(らいてい)を放ち、テュポンをシチリア島まで追い詰めます。
そして、山を持ち上げて、その下にテュポンを押しつぶしました。こうしてゼウスは戦いに勝利します。この山こそが、シチリア島最大の火山エトナ火山であり、テュポンは今もしばしば、悔しがるように火を吐くのだそうです。


●怪物たちの親
テュポンはエキドナと交わって、さまざまな怪物の親になっています。
彼の子供には、三つ首の番犬ケルベロス、双頭の犬オルトロス、レルネの大蛇ヒュドラ、リュキア(トルコ南部)地方の山岳地帯に棲むキマイラ(キメラ)、ヘスペリスの園を守るラドンなどがいます。



●亜種・別名など
テュポーエウス/テューポーン

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