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2014年7月 6日 (日)

ワーウルフWerewolf/ライカンスロープLycanthropy

●オオカミ人間
ワーウルフはヨーロッパの伝承に登場する怪物の名前です。「ワーウルフ」という名前を知らなくても、「オオカミ男」という名前を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。

ワーウルフはその名から連想されるように、「オオカミに変身する」能力の持ち主で、中世を通じて広くその実在が信じられた存在のひとつです。
普段は人間として暮らしていますが、夜になると突然ケモノに変身し、人びとを襲います。「ワーウルフ」の名は古代ゲルマン語で「人」を意味するWerazと、「オオカミ」を意味するWulfがくっついたもので、そのまま「人狼(じんろう)」を意味します。
「ライカンスロープLycanthropy」の名で呼ばれることもありますが、これはギリシア語で「オオカミ人間」を意味する言葉から来ています。

その原型については、ギリシア神話において、ゼウスにオオカミへと変えられたリュカオン王に求める向きもありますが、民間伝承の中に定着したのは12~13世紀ごろと言われ、数ある「怪物」の中では比較的新参の位置に属します。

オオカミ憑きについては、1世紀ごろのローマの著述家プリニウスの「博物誌」にも登場しますが、彼はこの存在を「呪い」の一種とみなし、信ずるに値しないものとして一蹴しています。


●変身する人間
人間がケモノに変身するという伝説は世界中に散在し、日本でも「狐憑き」の例が知られていますが、ヨーロッパではもっぱらオオカミに変身するのが一般的だったようです。

変身には2種類あり、ひとつは完全にオオカミの姿になってしまうというもの、もうひとつはオオカミのように毛むくじゃらになるというものです。
いずれの場合も、人間としての理性は失われ、凶暴化し、人びとを襲います。

また、ワーウルフに傷つけられた者が、新たなワーウルフになるという伝説も広く信じられ、人びとはこの怪物をひどく恐れました。

恐らくは、オオカミや野犬から移される「狂犬病」の伝承が、何らかの形を経てワーウルフ伝説へと昇華したのでしょう。凶暴化、伝染性という部分は、狂犬病の症状・性質と一致するからです。

中世以降、ヨーロッパを中心として魔女裁判が行われたことはよく知られていますが、その際に、ワーウルフもキリスト教にあだなす存在として、裁判の俎上にしばしばのぼったと言います。


●現代の人狼たち
人間が怪物に変身するというモチーフは、現代になっても脈々と映画や漫画・小説の中で受けつがれ、さまざまな作品を生み出してきました。
とりわけ近年は、「凶暴化する」という部分が取り除かれ、人間と獣の良いところを取った作品・イラストなどが目立ちます。
モチーフの美しさもさることながら、狂犬病の脅威が去り、オオカミ人間の実際的な「怖さ」が薄れてきたのも、理由のひとつでしょう。

また、ゲームなどの影響から、「ワーベア(熊人間)」「ワーキャット(猫人間)」などのバリエーションが生まれました。最初から獣と人間がくっついたデミヒューマン(半人間)的なものも一般化しつつあります。



●亜種・別名など
ワーベア(熊人間)/ワーキャット(猫人間)/ワータイガー(虎人間)/ライカンスロープ

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