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2014年7月 6日 (日)

ワイトWight

●魂魄(こんぱく)の怪物
ワイトを一口で言えば、死体に乗り移る悪霊です。金色に光る魂魄(こんぱく)の姿で現れ、死体に乗り移ってはそれを動かします。そして、通りがかる者を襲い、その精気を吸い取ります。

吸い取られた者は卒倒し、ひどい時には死んでしまうこともあると言います。なお、ワイトに乗り移られた者は身体の周りがぼうっと黄色く光るという特徴があります。

もともとこの怪物は、民間伝承に基づくものではなく、J・R・R・トールキンの「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」に出てくるもので、名前を「塚人(バロー・ワイツBarrow Wights)」と言うのですが、なぜか上半分が省略され、単に「ワイトWight」と呼ばれるようになりました。


●塚人(バロウ・ワイト)たち
塚人は、ホビット庄の南、古墳山に棲む怪物です。古墳山は人間の王が葬られた神聖な場所だったのですが、そこに、魔王の王国アングマールから拷問を受けた恐ろしい悪霊どもが大挙してやって来て、太陽の光を避けるためにちょうどそこにあった王の死体に入り込みました。
そして、死体は旅人を襲う恐ろしい怪物になったのです。

塚人は意志をくだく暗黒の存在であり、どんな姿にもかたちを変えることができます。冷たく光る目をしており、その声は身の毛がよだつほど恐ろしい響きをそなえ、同時に相手を眠らせる効果があります。

この塚人に捕らえられたら一巻の終わり。墓の下に連れられて、祭壇に寝かせられ、いけにえの剣を身体に突き立てられ、殺されてしまうのです。しかし、太陽の光に弱く、ひとたび彼らの頭上に光が差せば、叫び声とともに消えてしまいます。

ホビットのフロド一行も危うく古墳山を通りかかったとき、この塚人に拉致されかけたのですが、持ち前の勇気で何とか辛くも脱出しています。


●ワイトと妖精
ワイトと言う言葉は古代ドイツ語の「人」を意味するウィヒトWichtに由来するもので、それ自体に「不思議な住人」「精霊」と言うニュアンスがあります。日本語で言えば「山男」みたいなものでしょうか。
山男にも、単なる登山者や山で暮らす人という意味のほかに、人間ではない山の精霊と言った響きがあります。

14世紀には妖精を差す言葉としてしばしば引用されたようで、中世の代表的な物語集「カンタベリー物語」にも、「あなたをエルフやワイトから守ってあげる」という言葉が残っています。



●亜種・別名など
ウィヒト/ウンセーレー・ウィヒト/バロウ・ワイト(塚人)

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