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2014年7月 6日 (日)

ゼウスZeus

●ギリシア神話の最高神
ゼウスはギリシア神話の天空神にして最高神です。
その名前は「天」「昼」「光」を意味する印欧古語に由来します。

ローマ神話のユピテルJupiterに当たり、英語ではジュピターと呼ばれます。その名はまた木星に与えられています。

同じ天空神でも、天のみを支配するウラノスとは違い、種々の気象的現象(雨、風、雷など)を生ずる空の神であり、同時に地上の神でもありました。同時に、人間社会の秩序を守る、全ギリシアの守護神でした。

彼の聖獣は鷲であり、聖木はオーク(ナラ、カシ類)の木です。
生け贄には山羊、牡牛、牝牛が捧げられました。武器は雷霆(らいてい)であり、彼の像は片手に雷霆、もしくは王笏を持った姿で表されます。


●ゼウスの生い立ち
ゼウスはクロノスとレアの息子の末子であり、父クロノスの乱心を避けて、クレタ島のアンガイオン(異説あり)の洞窟で生み落とされました。

妖精(ニンフ)もしくは牝山羊のアマルテイアの乳を与えられて育てられ、成長した彼は、クロノスの腹の中から兄弟姉妹を取り返して、クロノスらをはじめとするティタン神族に戦い(ティタノマキア)を挑みます。

結果は、10年かかったものの、ヘカトンケイル族やキュクロプス族を味方につけたゼウス側が勝利します。

その後、兄(弟という説もあり)のポセイドン、ハーデスとともに、どちらがどこを支配するか、くじ引きを行ったところ、天界を支配することが決まったので、ウラノス、クロノスに続くゼウスの世界支配がなりました。


●ゼウスと怪物との戦い
しかし、世界支配がなっても、安心はできませんでした。
ガイアが我が子を倒した孫(ゼウス)を恨んで、ギガース(巨人族)をけしかけてきたからです。

ギガースは父クロノスが祖父ウラノスの一物を切り落とした時、その血が地面(ガイア)にしたたって生まれた子供です。いわば、彼は叔父らに戦い(ギガントマキア)を挑まれたのです。
この時も、彼は我が子ヘラクレスの協力を得て、何とか巨人族を撃退します。

それでもなお、憤懣(ふんまん)やるかたない祖母(ガイア)は、最後にガイアとポルキュスの子供であるテュポンをけしかけます。
その余りの恐ろしさに、他の神々はみな逃げ出してしまいましたが、ゼウスは単身戦いを挑みます。この戦いに名前はついていません。結果は、雷霆(らいてい)で圧倒したゼウスの勝利でした。

こうして、三度の戦いに勝利したゼウスは、神々の長としての地位を不動のものにします。


●浮気性の神
ゼウスは浮気性の神としても知られます。

あちこちの女神や妖精(ニンフ)、人間の女性に手を出しては、正妻ヘラの嫉妬を受けて女性が受難を受ける、というパターンがほとんどです。

これは、かつてのギリシア名家・王家が、ゼウスに祖先を求めたり、異民族の神話体系がギリシア神話に取り込まれたりした結果だと言われています。
名家・王家はゼウスに連なる家系であることを主張することで、支配権の確立を狙い、異民族はギリシア神話の最高神と繋がることで、ギリシア人への同化を行ったのです。

ですから、彼は厖大な数の子供を残したことになっています。主な子供をざっと挙げただけでも次の通りです。

(対アイギナ)=アイアコス
(対アルクメネ)=ヘラクレス
(対アンティオペ)=アムピニオン、ゼトス
(対イオ)=エパポス
(対エイリュメ)=カリテス
(対エウロペ)=ミノス、ラダマンテュス、サルペドン
(対エレクトラ)=ダルダノス、イアシオン、ハルモニエ
(対カリスト)=アルカス
(対セメエ)=ディオニュソス
(対ダナエ)=ペルセウス
(対タユゲテ)=ラケダイモン
(対テミス)=ホライ、モイライ
(対デメテル)=ペルセポネ
(対ニオペ)=アルゴス、ペラスゴス
(対プルート)=タンタロス
(対ヘラ)=ヘベ、エイレイテュイア、アレス、ヘパイストス(*異説あり)
(対マイア)=ヘルメス
(対メティス)=アテナ
(対レダ)=ヘレネ、ディオスクロイ
(対レト)=アポロン、アルテミス


●ゼウス信仰
ゼウス信仰は古代ギリシアの先住民族、ペラスゴイ人の時代にまでさかのぼると言われています。ゼウスの神域にはオリンピア、そしてドドナが挙げられますが、ドドナはペラスゴイ人の神域でもありました。

彼は当初から諸王における大王の如く、全部族の神の長としての役割を与えられており、ギリシアで王制がすたれた後も、大はポリス、小は個人の権利と自由を守る存在として信仰を集め、紀元前5世紀ごろには、ほぼ全知全能の存在として崇められるに至りました。

予言も彼の重要な職掌のひとつとされ、ドドナで行われる予言、あるいはアポロンの神託で有名なデルフォイで行われる予言は、ゼウスがオークの木のささやき、またはアポロン神の口を借りて行うものだとされました。

ゼウスはまた、最初に述べたように、天候と気象をつかさどる存在として崇敬されたので、霧や雲が発生しやすい場所、たとえば高山の中腹や頂上に、彼に捧げる神殿がいくつも造られたと言います。神々が棲むと言われるオリュンポス山もそのひとつです。



●亜種・別名など
ユピテル/ジュピター

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