ケルト神話

2014年7月 6日 (日)

シアバーンSearbhan

●一つ目の巨人
シアバーンはケルト神話に登場する巨人です。巨人族フォヴォリのひとりとされており、ひとつの目、ひとつの腕、ひとつの脚のみを持っていました。

彼の役割は、誰もあえて近づこうとしない魔法の木を、日がな一日、その根元に座って見守ることです。

ある時、フィアナ戦士団長フィン・マク・クールの妻グラーネと英雄ディアミルドが駆け落ちした際、彼らはこのシアバーンと仲良くなり、魔法の木の枝にかくまってもらいます。
しかし、グラーネがこの木の実を食べようとしたため、シアバーンは怒り、ディアミルドと対立します。そして、彼はディアミルドの棍棒によって打ち殺されてしまうのです。

2014年7月 4日 (金)

イマモImamo

●イマモ!
イマモは熊本県天草諸島下島に住んでいる妖怪の名前です。
姿かたちは見えませんが、峠道などで「昔、ここで○○があったそうな」と言うと、「イマモ!」という怒鳴り声が聞こえ、その○○が落ちてくるというものです。「イマモ」というのは恐らく「今も(出るぞ)」の意味でしょう。

この妖怪には背筋の寒くなるようなエピソードが残っています。

ある峠道を歩いていると、旅人たちが、ふと「昔、ここには血だらけの人間の手があったそうな」と口にしました。
すると、「イマモ!」という言葉とともに、血のしたたる人間の手がごろりごろりと落ちてきました。

旅人たちが肝を潰して逃げ、疲れて一休みしていると、再び誰かが「昔、この辺では人の生首もあったと言うぞ」とつい口に出しました。
すると、再び「イマモ!」という怒鳴り声とともに、人の生首がごろりごろりと落ちてきたと言うことです。



●亜種・別名など
油ずまし/油すまし

2014年7月 3日 (木)

ケルヌンノスCernunnos

●ケルトの古神
ケルヌンノス(ケルヌノス)は、ガリア(フランス)とブリテン(イギリス)で崇拝された、ケルトでも最も古い神のひとりです。

その姿は、おおむねあぐらをかいて座り、袖無しの長衣(チュニック)にガラス玉の首飾りといういでたちで、頭には一対の立派な枝状角が生えていました。
そこから、古代ローマ人によって「角を持つ者」を意味するケルヌンノス、もしくはケルヌノスと呼ばれました。

●豊穣の神
ケルヌンノスは野生動物や森林の神であると同時に、角が豊穣のしるしと考えられていたため、豊穣の神と見なされました。ローマ人はこの神を、伝令や死者の神であるメルクリウス(ギリシア神話のヘルメス)と同一視したと言われています。

ガリア北部ではこの神は重要視されたらしく、ノートルダム大聖堂の下から発見された祭壇には、このケルヌンノスのレリーフが、他の神よりも大きく彫られていたそうです。
また、ガリア南部の文書や彫刻にもケルヌンノスが記録され、そのルーツは旧石器時代にまでさかのぼることができると言います。

ただ、中世に入ると、この枝状角は豊穣のしるしではなく、悪魔のしるしと見なされるようになります。


●亜種・別名など
ケルヌノス

2014年7月 2日 (水)

バロルBalor

●邪眼の持ち主
バロルはバラルとも呼ばれる、ケルト神話に登場する恐ろしい巨人で死の神です。巨人族フォウォレ族の王であり、邪眼の持ち主として「邪眼のバロル」「恐ろしい目のバロル」という二つ名を持ちます。
彼は単に巨大なだけでなく、片眼が常に閉じられていました。なぜなら、その眼で見られた者は、直ちに死に絶えたからです。

この眼が生まれた理由は、単なる好奇心からでした。
子供時代、ドルイド僧のかき回す大鍋をじっと見つめていた際、その片眼に、調整中の魔法の薬草から立ち上る毒の蒸気をたっぷり受けてしまったために、邪眼になってしまったのです。
この眼は成長するに従って大きくなり、まぶたを持ち上げるには4人の男が必要とされました。


●死の予言
彼は、ある時、いつか自分の孫息子に殺されるであろうという予言を受けていました。
そこで、バロルは娘エスリンが子をもうけないように、アイルランド北西岸にある水晶の塔に幽閉してしまいます。
ところが、トゥアーサ・デ・ダナーン神族のキアン・マク・ケーフトが、ドルイド僧ビローグの助けを借りて女装して忍び込み、エスリンと床を共にします。果たしてエスリンは懐妊し、3人の子供を産みました。

バロルは孫息子が誕生したことを知ると、怒って子供たちを溺死させるよう、海に放り込みました。しかし、子供のひとり、長腕のルーだけが助かります。この子供は鍛冶の神ゴブヌに引き渡されたとも、海神マナナーン・マク・リールが里子として育てたとも言われています。
いずれにしろ、助けられたルーは成長して、立派な勇者となりました。


●孫息子との戦い
彼らが相まみえたのは、ダナーン神族とフォウォレ神族が覇権を争って激しく戦ったモイ・トゥラの第二の戦いでした。
しかし、バロルは邪眼を開き、あらゆる者を死に追いやり、ダナーン神族を次々と死に追いやっていきます。ダナーン神族の指導者ヌアザもその眼にやられました。

しかし、ダナーン神族の潰走で決したかに見えたこの戦いは、孫息子ルーの活躍によって一変します。
ルーはバロルの眼が、疲労のためにゆっくり閉じられようとしたのを見逃しませんでした。彼は魔法の投石機を手に、祖父バロルの近くまで這ってゆき、まぶたが再び開いた時に、石を思いっきりの力で彼の邪眼に対して投げたのです。
あまりの強さに、バロルの眼球は頭を貫いて飛び出し、フォウォレ神族の間に落ちました。今度はフォウォレ神族がパニックに陥りました。邪眼がフォウォレ神族の間に死をもたらしたのです。

こうして、ルーは予言通り、祖父バロルを倒し、ダナーン神族はフォウォレ神族を潰走させ、フォウォレ神族は永久にアイルランドから追放されることになったということです。



●亜種・別名など
バラル/バラー